新生児ないし幼児では認められるが,成長とともに消失して,正常な成人ではほとんど認められない各種の反射をいう。原始反射は成人でも脳の広範な領域に病変があると出現するが,とくに前頭葉に病変がある場合によくみられ,前頭葉の影響から反射系が解放された結果出現すると考えられている。しかし,この反射の出現から病変部位を厳密に判定するのは困難である。原始反射には,口とがらし反射,吸引反射,把握反射等がある。口とがらし反射は唇のまわりを軽く叩打すると口をすぼめ突き出す反射であり,吸引反射は,唇またはそのまわりを鉛筆などで軽く刺激すると,口でこの鉛筆を追い求めて,それに吸いつく反射である。いずれも乳児が乳を飲むときに働いている。把握反射は,鉛筆等で手掌に触ると,その手の指が強く屈曲して,この鉛筆を握りしめる反射で,下肢でも同様な現象がみられる。乳児を鉄棒につかまらせると,これにぶら下がって体重を支えることができるのは,この反射による。
→反射
執筆者:大野 忠雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」指導/妊娠編:中林正雄(母子愛育会総合母子保健センター所長)、子育て編:渡辺博(帝京大学医学部附属溝口病院小児科科長)妊娠・子育て用語辞典について 情報
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