S.フロイトが発見した防衛機制の一つ。反対の傾向を強調することによってみずからが受容しがたい衝動を制御しようとする心的な態度ないし習性をいう。他人への過度の配慮が,その人に対する攻撃心を覆い隠すものであったり,清潔好きが汚物愛好を隠すものであったりする。この防衛機制はもとフロイトが強迫神経症者について見いだしたものだが,健康人の間にも広くみられ,慇懃無礼あるいは馬鹿丁寧などと形容されるふるまいは,その典型である。反動形成に基づく言動は,当人は気づいていないとしても,周囲の者には,ぎこちなくわざとらしくうつるものである。一方,反動形成は,昇華の基礎を形づくるプラスの可能性をもっていることも否定できない。
→防衛機制
執筆者:下坂 幸三
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… 防衛機制にはさまざまなものがあるが,どの防衛機制をもっぱら優先的に用いるかによって,個人の性格も違ってくるし,防衛機制が破綻したときに(防衛機制はもともと不合理なものだから,成功したとしても一時逃れだが)生じる精神疾患の種類も違ってくる。たとえば〈抑圧〉とヒステリー,〈反動形成〉および〈分離(隔離)isolation〉と強迫神経症,〈投射(投影)〉とパラノイアは関係が深いといわれる。防衛機制のもっとも基本的なものは,自我を脅かすふつごうな観念や感情を無意識へと追いやる〈抑圧〉であるが,抑圧したからといってそれらの観念や感情は消滅しないので,さらにいろいろと防衛機制が必要となる。…
※「反動形成」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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