古今亭志ん朝(読み)ココンテイシンチョウ

デジタル大辞泉 「古今亭志ん朝」の意味・読み・例文・類語

ここんてい‐しんちょう〔‐シンテウ〕【古今亭志ん朝】

[1938~2001]落語家。3世。東京の生まれ。本名、美濃部強次きょうじ。5世志ん生次男。10世金原亭馬生の弟。入門から5年という異例のスピード真打昇進。明快、軽妙な語り口人気を博した。得意の演目は「居残り佐平次」「愛宕山」「文七元結ぶんしちもっとい」「明烏あけがらす」など。

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新撰 芸能人物事典 明治~平成 「古今亭志ん朝」の解説

古今亭 志ん朝(3代目)
ココンテイ シンチョウ


職業
落語家

肩書
落語協会副会長

本名
美濃部 強次

別名
前名=古今亭 朝太

生年月日
昭和13年 3月10日

出生地
東京市 本郷区(東京都 文京区)

学歴
独協学園高〔昭和31年〕卒

経歴
5代目古今亭志ん生の二男で、兄は10代目金原亭馬生。学生時代は外交官俳優に憧れるが、独協学園高卒業後の昭和32年、父に入門し、古今亭朝太の名で初高座。父や7代目林家正蔵(林家彦六)らに稽古をつけてもらい、34年朝太のまま二ツ目となる。早くから頭角を現し、同年本牧亭で「古今亭朝太の会」を開催したほか、「若手落語会」のメンバーにもなった。37年24歳という異例の早さで真打ちになり、3代目古今亭志ん朝を襲名。以来、立川談志、5代目三遊亭円楽、5代目春風亭柳朝(または8代目橘家円蔵)とともに若手の四天王と呼ばれて人気が集め、46年には「今戸の狐」「宮戸川」で芸術選奨文部大臣新人賞を受賞した。一方、真打ち昇進の前後からテレビタレントとしても売り出し、38年よりフジテレビのバラエティ番組「サンデー志ん朝」の司会を担当。また、喜劇俳優の三木のり平に師事して俳優としても活動し、「若い季節」「鞍馬天狗」「鬼平犯科帳」「鳴門秘帖」「新・必殺からくり人」などのテレビドラマ、「大日本スリ集団」「喜劇・三億円大作戦」「あさき夢みし」などの映画、「寿限無の青春」「たぬき」「四谷怪談」などの舞台に出演。独特のおっとりとしたキャラクターで親しまれた。本業の落語では正統派の江戸前古典落語にしっかりと取り組んで芸を磨き、40歳以降は寄席や落語会への出演の比重を増やし、昭和後期から平成を代表する落語家となる。破天荒な父とは対照的に、スピード感のある語り口、清潔で気品と華やかさを備えた芸風で年を経るごとに声価を高めた。6年アニメ映画「平成狸合戦ぽんぽこ」でナレーションを担当。8年落語協会副会長に就任。主な演目は「明烏」「三枚起請」「宿屋の富」「大工調べ」「文七元結」「愛宕山」「富久」「黄金餅」、父の十八番を自分流に再構成した「火焔太鼓」など。新宿矢来町に居を構えていたことから“矢来町の師匠”と呼ばれ、若手落語家からの信望も厚かった。また、住吉踊りに注目し、昭和53年から亡くなるまで「住吉踊りの会」座長を務めた。編著に「志ん朝の落語」「志ん朝のあまから暦」「志ん朝の風流入門」などがある。

受賞
芸術選奨文部科学大臣賞(第51回 平12年度)〔平成13年〕 芸術選奨文部大臣新人賞〔昭和46年〕,浅草芸能大賞(第10回)〔平成5年〕

没年月日
平成13年 10月1日 (2001年)

家族
父=古今亭 志ん生(5代目),兄=金原亭 馬生(10代目)

親族
姪=池波 志乃(女優)

伝記
志ん朝の走馬灯古典落語の人間像―古今亭志ん朝の噺を読むよってたかって古今亭志ん朝志ん朝と上方まわりまわって古今亭志ん朝名人―志ん生、そして志ん朝花は志ん朝よってたかって古今亭志ん朝三人噺―志ん生・馬生・志ん朝榎本版 志ん朝落語おしまいの噺―落語を生きた志ん生一家の物語談志の迷宮 志ん朝の闇花は志ん朝ありがとう笑名人〈第1巻〉三木のり平・由利徹・笑福亭松鶴・東八郎・古今亭志ん朝名人―志ん生、そして志ん朝三人噺―志ん生・馬生・志ん朝 京須 偕充 著幸津 國生 著志ん朝一門 著岡本 和明 著志ん朝の仲間たち 著小林 信彦 著大友 浩 著志ん朝一門 著美濃部 美津子 著榎本 滋民 著美濃部 美津子 著立川 末広 著大友 浩 著高田 文夫,「笑芸人」 編著小林 信彦 著美濃部 美津子 著(発行元 筑摩書房花伝社,共栄書房〔発売〕文芸春秋アスペクト文芸春秋文芸春秋河出書房新社文芸春秋文芸春秋ぴあアスペクト夏目書房ぴあ白夜書房朝日新聞社扶桑社 ’09’08’08’08’07’07’06’06’05’05’05’04’03’03’03’02発行)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

20世紀日本人名事典 「古今亭志ん朝」の解説

古今亭 志ん朝(2代目)
ココンテイ シンチョウ

昭和・平成期の落語家 落語協会副会長。



生年
昭和13(1938)年3月10日

没年
平成13(2001)年10月1日

出生地
東京市本郷区駒込神明町(現・東京都文京区)

本名
美濃部 強次

別名
前名=古今亭 朝太

学歴〔年〕
独協学園高〔昭和31年〕卒

主な受賞名〔年〕
芸術選奨文部大臣新人賞〔昭和46年〕,浅草芸能大賞(第10回)〔平成5年〕,芸術選奨文部科学大臣賞(第51回 平12年度)〔平成13年〕

経歴
昭和32年父である5代目古今亭志ん生に入門し、朝太の名で初高座。37年24歳という異例の早さで真打ちになり、2代目志ん朝を襲名。談志、円蔵(当時は円鏡)、円楽とともに四天王と呼ばれ、江戸前古典落語の正統派として人気が高かった。スピード感のある語り口、清潔で気品ある芸風で、得意ネタは「明烏」「三枚起請」「宿屋の富」「大工調べ」「文七元結」「愛宕山」、父の十八番だった演目を自分流に再構成した「火焔太鼓」など。また、喜劇俳優の三木のり平に師事し、俳優としても独特の味のある演技で活躍、テレビドラマ「若い季節」(NHK)などにも出演。映画「平成狸合戦ぽんぽこ」、テレビ「茂七の事件簿」(NHK)ではナレーションを担当した。没後の平成14年未発表のライブ録音を収録したCD「志ん朝復活〜色は匂へと散りぬるを」が発売された。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「古今亭志ん朝」の意味・わかりやすい解説

古今亭志ん朝(3世)
ここんていしんちょう[さんせい]

[生]1938.3.10. 東京
[没]2001.10.1. 東京
落語家。本名美濃部強次。5世古今亭志ん生の二男。兄は 10世金原亭馬生。獨協学園高校卒業。1957年父に入門,古今亭朝太となる。1959年二つ目に昇進。1962年真打ちに昇進し,3世古今亭志ん朝を襲名。生粋の落語家として若い頃から注目を集める。テレビ番組『サンデー志ん朝』(フジテレビジョン系)をはじめテレビやラジオで活躍。1969年 5世春風亭柳朝との二人会『二朝会』を開催。1972年芸術選奨文部大臣新人賞受賞。落語のみならず,テレビ時代劇『鬼平犯科帳』(NET,今日のテレビ朝日系)の木村忠吾役や,三木のり平の舞台公演などにも多数出演,1975年には芸術座公演『たぬき』で山田五十鈴と競演するなど俳優としても活躍。芸風は粋で快活,軽快なべらんめえ調が魅力で気品もあり,多くのファンを魅了した。得意ネタは『大工調べ』『愛宕山』『火焔太鼓』『お化け長屋』『居残り佐平次』『幾代餅』など多数。寄席では『強情灸』『粗忽長屋』などのほか,『男の勲章』と題した漫談をやることもあった。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「古今亭志ん朝」の解説

古今亭志ん朝(2代) ここんてい-しんちょう

1938-2001 昭和後期-平成時代の落語家。
昭和13年3月10日生まれ。5代古今亭志ん生の次男。昭和32年父の門下となり,古今亭朝太を名のる。37年真打となり,2代を襲名。はやくから古典落語の旗手として期待され,47年「今戸の狐」「宮戸川」で芸術選奨新人賞。テレビ,映画,舞台で俳優としても活躍。平成13年10月1日死去。63歳。東京出身。独協学園高卒。本名は美濃部強次。

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367日誕生日大事典 「古今亭志ん朝」の解説

古今亭 志ん朝(3代目) (ここんてい しんちょう)

生年月日:1938年3月10日
昭和時代;平成時代の落語家
2001年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の古今亭志ん朝の言及

【落語】より

…軽妙な3代春風亭柳好(りゆうこう)(1889‐1956),明快な弁舌の3代三遊亭金馬,粋な3代桂三木助,近代落語の巨星8代桂文楽,独特の名人芸の5代古今亭志ん生,持ちネタの数と至芸を誇った6代三遊亭円生,人情噺,芝居噺の名手林家彦六(8代林家正蔵),新作の闘将5代古今亭今輔(いますけ)(1898‐1976)などが黄金時代を形成した。 1985年現在の東京には,〈落語協会〉に,滑稽噺の名手5代柳家小さん,新作の3代三遊亭円歌(1929‐ ),繊細で粋な2代古今亭志ん朝(1938‐ ),滑稽噺の人気者8代橘家円蔵(1934‐ ),飄逸な個性の10代柳家小三治(1939‐ )らがおり,〈芸術協会〉に,明朗な新作の4代桂米丸(よねまる)(1925‐ ),飄々たる妙味の新作の3代春風亭柳昇(1920‐ ),滑稽噺の10代桂文治らがおり,ほかに5代三遊亭円楽(1933‐ )一門,5代立川談志(1936‐ )一門などがあるが,志ん生,文楽などを筆頭にした名人上手の消えた穴は大きい。 一方,同じく現在の上方は,6代笑福亭松鶴(しよかく),3代桂米朝(べいちよう),3代桂春団治,3代桂小文枝(こぶんし)(1939‐ )などのベテランにつづいて,桂三枝(1943‐ ),2代桂枝雀(しじやく)(1939‐ ),桂文珍(ぶんちん)(1949‐ )などの若手が全国的な人気を集め,落語向きの寄席がないという悪条件のなかで,上方落語復興に精進をつづけている。…

※「古今亭志ん朝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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