古学(読み)コガク

デジタル大辞泉 「古学」の意味・読み・例文・類語

こ‐がく【古学】

江戸時代におこった儒学一派朱子学陽明学などの解釈を批判し、「論語」「孟子」などの経書けいしょ本文を直接に研究してその真意を解明しようとするもの。山鹿素行やまがそこう伊藤仁斎荻生徂徠おぎゅうそらいなどが代表的な人。復古学
国学1

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「古学」の意味・読み・例文・類語

こ‐がく【古学】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 古代を研究する学問古文の学。〔後漢書‐衛宏伝〕
    2. 江戸時代に起こった儒学の一派。朱子学、陽明学などの性理学に対して、宋代の注釈によらず、経書の直接研究により孔孟の真意を探究しようとするもの。また、漢代・唐代などの古代の注釈によるべきだとした学問。この派の学者には山鹿素行、伊藤仁斎、荻生徂徠らがいる。
      1. [初出の実例]「議論亦温厚、直得古学宗」(出典:常山遺稿(1785)謁古学伊藤先生墓)
    3. 日本の古典を研究して古道(古代の精神)を明らかにする学問。契沖賀茂真淵、本居宣長らの唱えたもの。国学。
      1. [初出の実例]「春満といふもの幼より古学を好みて終に発明論破する所多く」(出典:国歌八論(1742)古学)
  2. [ 2 ] 伊藤仁斎の諡号。古学先生。

いにしえ‐まなびいにしへ‥【古学】

  1. 〘 名詞 〙 古代の事跡や古道を研究する学問。こがく。
    1. [初出の実例]「其の陰陽を陰陽たらしむる神の事実を、古学(イニシヘマナビ)をして知るが宜いでござる」(出典:志都の岩屋講本(1811)上)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「古学」の意味・わかりやすい解説

古学【こがく】

古学派

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の古学の言及

【国学】より

…はじめは文献学的方法と古代社会の理想化とを特色とする学問潮流として始発したが,やがて古代に民族精神の源泉を求める思想体系の性格を帯び,幕末には日本の歴史的個体性を尊王論と結びつけることでいちじるしくイデオロギー化する。江戸時代には,漢学に対抗して古学・和学・皇朝学・本教学などと呼ばれた。〈国学〉とは本来,律令制度のもとで諸国に置かれた学校を意味する言葉であったが,上記の字義で用いられるようになったのは近世後期のことである。…

【本居宣長】より

…現に真淵の説の誤りに対する宣長の批判は手きびしい。宣長は己の学問を〈古学〉と呼び,〈すべて後世の説にかかはらず,何事も,古書によりて,その本を考へ,上代の事を,つまびらかに明らむる学問也〉(《初山踏(ういやまぶみ)》)と定義する。それは神々の代への強い信に支えられていた。…

【経学】より

…この,当時通行の隷書(れいしよ)つまり今文で書写されたテキストを用いた博士官とは別に,古文すなわち戦国期の篆書(てんしよ)や籀文(ちゆうぶん)などのテキストを使用する学術も,前漢末に起こった。いわゆる〈古学〉であって,〈経伝〉の訓詁解釈にすぐれ,各経書の今古文にわたる比較研究を促し,漢・魏期の〈注〉釈(故訓,校注)を残している。後漢末の鄭玄(じようげん)にいたってその総合解釈の段階に達し,当面する治政の術芸をこえて,永遠の政教理念の学術へとむかった。…

【清】より

…中国を聖人君子の理想国として畏敬する風潮は儒学者のみならず一般の日本人の間にも行き渡った。しかし一方,宋代,明代における経書の恣意的解釈に批判を加えた伊藤仁斎,荻生徂徠らの古学が勃興したのは元禄・享保期(1688‐1736)であり,これは清朝の乾隆・嘉慶期(1736‐1820)の考証学に先だつものであった。彼らが文化的理想としたのは現実の清朝ではなく古代中国社会であった。…

※「古学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android