出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
古来使われてきた道で、いまもその痕跡(こんせき)を残しているもの。広義には、近代的車道・新道に対して、それ以前の人馬往来の道をさすが、所によっては、江戸時代の旧街道を外れて残る古代・中世の道を古道とよぶことがある。歴史の諸時代にはそれぞれ特有の道路網があり、都鄙(とひ)間の幹線路、地域間の支線路、地域内の日常生活路、それらと重なりつつ独自のルートをとる信仰の道などが、それぞれの役割を担い、交通様式の変遷につれて興廃を繰り返した。近現代の車道・鉄道発達の陰で、無数の旧道が埋没し廃絶していったが、なかには地域民間の暮らしのなかでなお生命を保ち、その道筋、路相、遺跡、風物などに古風を伝えているものが少なくない。近年乱開発が進むなかで、これら古道を貴重な歴史的遺産として再評価し、沿道や周囲の史跡、文化財、自然景観と一体のものとして保存・整備して、広域的な歴史の現地学習や、地域の望ましい文化的環境づくりに役だてようとする動きが各方面で活発になってきた。文化庁による熊野古道(熊野街道)など「歴史の道」の指定と整備事業はその例である。また、環境省が整備を進めている東海自然歩道、九州自然歩道などの「長距離自然歩道」(2000年の利用者は5252万4000人)にも同じ構想が組み込まれている。なお、熊野古道は、2004年(平成16)「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録された。
[戸田芳実]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
国学者が日本の古代文献を通して明らかにしようとした道。儒教の仁義礼智信などの道徳的規範に対する反発から生まれた。典型的な主張は,賀茂真淵の「国意考」にある「天地のまにまに丸く平らか」な道,本居宣長の「直毘霊(なおびのみたま)」にみえる「天照大御神の受たまひたもちたまひ,伝へ賜ふ道」などである。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…しかし,明確な教義を持たず,農耕などの儀礼を中心とした生活習慣そのものであった神々の祭祀を,仏教や儒教と同列に考えることは種々の無理があったことはいうまでもなく,上記の例も中国を意識した文章上の配慮から神道の語を用いたものと思われる。《古事記》や《日本書紀》では,本教,神習,神教,徳教,大道,古道などの語もカミと読ませているところからもうかがえるように,カミということばの表記も一定しておらず,神道という語もそれらの一つでしかなかった。日本の土着の信仰を,神道と呼ぶことは,中世に入っても一般化してはおらず,神道の語をカミそのもの,あるいはカミの働きをさすことばとして用いている例は少なくない。…
…しかし古来の道は,東山道が木曾路を選ぶようになる大変化のほかは江戸時代に至るまで大筋において守られている。
[古道の検討]
東海道筋には,関東に入る際に一つの大きな路線の変更がある。それは足柄峠越えから箱根峠越えへの変更である。…
…周囲を五十人山(883m)をはじめとする標高700~900mの山々に囲まれ,山林原野が村域の大半を占める。中心集落は古道(ふるみち)で,郡山市と浜通り中部とを結ぶ旧都路街道(国道288号線)に面する街村である。古くから製炭と馬産が行われ,特に馬産は17世紀に三春藩が優良馬を貸し付けて奨励して以来盛んになった。…
※「古道」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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