古川古松軒(読み)フルカワコショウケン

デジタル大辞泉 「古川古松軒」の意味・読み・例文・類語

ふるかわ‐こしょうけん〔ふるかは‐〕【古川古松軒】

[1726~1807]江戸中期の地理学者蘭医備中の人。名は正辰。諸国を旅行し、交通風俗物産史跡などを調査し、「東遊雑記」「西遊雑記」などを著す。幕命で「武蔵五郡の図」などを作成

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精選版 日本国語大辞典 「古川古松軒」の意味・読み・例文・類語

ふるかわ‐こしょうけん【古川古松軒】

  1. 江戸中期の地理学者。名は辰(また正辰とも)、通称平次兵衛。備中国岡山県)の人。諸国を遊歴して交通・風俗・物産・史跡などを調査研究。幕命により「四神地名録」「武蔵国御府外之地図」を作った。著に「東遊雑記」「西遊雑記」など。享保一一~文化四年(一七二六‐一八〇七

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「古川古松軒」の意味・わかりやすい解説

古川古松軒
ふるかわこしょうけん
(1726―1807)

江戸中期の地理学者。備中(びっちゅう)国下道郡新本村(岡山県総社市)の薬種業兼医師の家に生まれる。名は正辰(まさとき)または辰と略す。字(あざな)は子曜、通称平次兵衛。号は古松軒のほか黄微山人、竹亭ともいう。少年期から地理学に親しみ、各地を旅行し、生涯を通じて全国を歩いた。1783年(天明3)山陽道から九州を一巡し、瀬戸内を航行した旅行記『西遊雑記』と、1788年奥州から蝦夷(えぞ)地に渡った旅行記『東遊雑記』は当代紀行文学として名高い。1793年(寛政5)老中松平定信(さだのぶ)に招かれて出府、下問にこたえ、著書や地図を献じた。翌1794年武蔵(むさし)国の地理調査を命ぜられ、半年余の調査結果を『四神地名録』『武蔵国御府外之地図』にまとめて奉呈した。紀行誌にはほかに『帰郷信濃噺(しなのばなし)』『都の塵』『八丈島筆記』などがあり、『備中国全図』『蝦夷全図』などの地図も作成している。『地勢論並に軍勢人数論』『御用諸事留書』『古川反故(ほご)』などには経世家としての一面もうかがえる。

石山 洋]

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朝日日本歴史人物事典 「古川古松軒」の解説

古川古松軒

没年:文化4.11.10(1807.12.8)
生年:享保11.8(1726)
江戸中期の地理学者。名は辰または正辰,字は子曜,通称平次兵衛。備中国下道郡新本村(総社市)生まれ。前半生は不詳だが,各地を旅行し,治政繁昌人情風俗を調べた。山陽路から九州を周回した『西遊雑記』には,薩摩入国の際の許可手形の写しを載せ,古松軒50歳とあり,安永4(1775)年と知れる。修行者の姿で観察に努めている。天明7(1787)年幕府巡見使に随行,奥羽から松前付近の蝦夷地まで巡行し,『東遊雑記』を著す。老中松平定信に献じたところ,同書中の林子平の著作への酷評が幕府の子平処罰の根拠となった。定信の命を受け武蔵国の地理を調査,『四神地名録』をまとめ,幕府に呈した。頼春水と親しく,手写した日本図をその子山陽に与え,山陽が『日本外史』執筆に拠りどころとしたという。実地踏査に徹し,風光や詩情より人々の暮らしを重視した生真面目な地理学者であった。

(石山洋)

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百科事典マイペディア 「古川古松軒」の意味・わかりやすい解説

古川古松軒【ふるかわこしょうけん】

江戸中期の地理学者。名は正辰または辰,通称平次兵衛(へいじべえ)。備中(びっちゅう)の人。測量術を修め,諸国を周遊し,山陽・九州の紀行《西遊雑記(せいゆうざっき)》7巻,東北・蝦夷(えぞ)の紀行《東遊雑記》12巻などを著した。寛政(かんせい)年間(1789年―1801年)には松平定信(まつだいらさだのぶ)の求めで江戸周辺の地誌《四神地名録(しじんちめいろく)》を編述。著作には型にはまらない鋭い観察力が随所にみられる。→菅江真澄(すがえますみ)
→関連項目浅虫[温泉]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「古川古松軒」の解説

古川古松軒 ふるかわ-こしょうけん

1726-1807 江戸時代中期-後期の地理学者。
享保(きょうほう)11年8月生まれ。家は代々備中(びっちゅう)(岡山県)の薬種商,医者。生涯を通じて全国を調査し,「西遊雑記」「東遊雑記」などの旅行記をまとめる。また松平定信の命で江戸付近を調査し「四神地名録」を作成した。文化4年11月10日死去。82歳。名は正辰,辰。字(あざな)は子曜。通称は平次兵衛。

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