日本大百科全書(ニッポニカ) 「古遠部鉱」の意味・わかりやすい解説
古遠部鉱
ふるとおべこう
furutobeite
銅、銀、鉛を主成分とする複硫化鉱物。1981年に苣木浅彦(すがきあさひこ)(1923―2010)、北風嵐(きたかぜあらし)、小田島吉次(おだしまよしつぐ)によって、秋田県鹿角(かづの)郡小坂(こさか)町の古遠部鉱山(閉山)および同大館(おおだて)市釈迦内(しゃかない)鉱山(閉山)から記載された新鉱物。類似鉱物はない。自形未報告。
最初に発見された鉱床はいずれも黒鉱式鉱床で、その後深熱水性鉱脈型銅・亜鉛・鉛鉱床からも発見された。原産地のものはCu5AgPbS4よりわずかにAg(銀)に富み、その後発見されたナミビア、ツメブTsumeb産のものはこれよりわずかにCu(銅)に富む。共存鉱物は輝銀銅鉱、斑銅鉱(はんどうこう)、方鉛鉱、閃亜鉛鉱(せんあえんこう)、方輝銅鉱、砒四面銅鉱(ひしめんどうこう)、自然金など。同定は肉眼的な諸性質が未記載なので方法は確立できない。命名は原産地にちなむ。
[加藤 昭]