日本大百科全書(ニッポニカ) 「輝銀銅鉱」の意味・わかりやすい解説
輝銀銅鉱
きぎんどうこう
stromeyerite
銀と銅の複硫化物。輝銀銅鉱‐ジャルパ鉱系を構成する。天然に産するものは低温相で、94℃で等軸晶系の高温相に転移する。自形はc軸方向に伸びた柱状。浅~深熱水性鉱脈型金・銀・銅鉱床に産し、初生のものと二次生成のものとがある。日本では栃木県上都賀(かみつが)郡足尾町(現、日光市足尾町)の足尾鉱山(閉山)、青森県上北(かみきた)郡天間林(てんまばやし)村(現、七戸(しちのへ)町)の上北鉱山(閉山)などから報告されている。
共存鉱物は黄銅鉱、銀安四面銅鉱、方鉛鉱、閃亜鉛鉱(せんあえんこう)、斑銅鉱(はんどうこう)、石英など。同定は輝銅鉱系の銅鉱物よりやや青味が少ない色。しかし錆びると色が似てくる。またこれらよりは粉末になりやすく、もろい。英名は最初に本鉱を化学分析したドイツ、ゲッティンゲン大学の化学者フリードリッヒ・シュトロマイヤーFriedrich Stromeyer(1776―1835)にちなむ。
[加藤 昭]