方輝銅鉱(読み)ほうきどうこう(その他表記)digenite

最新 地学事典 「方輝銅鉱」の解説

ほうきどうこう
方輝銅鉱

digenite

化学組成Cu9S5鉱物ダイジェナイトとも。三方晶系(擬立方晶系),空間群, 格子定数a0.392nm, c4.800, 単位格子中3分子含む。75℃以上では高温型の立方晶系,空間群Fm3m, 格子定数a0.557nm, 同じく立方晶系,空間群Fd3m, 格子定数a2.785nmのものは準安定相。青色味を帯びた鉛灰色,新鮮なときは輝銅鉱より青色味が強い。金属光沢,八面体結晶,塊状。劈開{111},硬度2.5~3,比重5.546(測定値),5.706(計算値)。反射光で帯灰青色,輝銅鉱より青色味が強く,コベリンより弱い。鉱脈鉱床・超苦鉄質岩・ペグマタイトなどから,輝銅鉱・デュルレ鉱斑銅鉱黄銅鉱などの銅鉱物黄鉄鉱などとともに産出。Cu+, Cu2+双方を含むと思われたため,ギリシア語のdigenes(2種類の)から命名

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「方輝銅鉱」の意味・わかりやすい解説

方輝銅鉱
ほうきどうこう
digenite

銅(Cu)の硫化物であるが、Cu1+(一価銅)とCu2+(二価銅)の両方を含む。化学式はCu9S5。ごく少量の鉄(Fe)は必須成分である。Cu2+の必須成分としての存在を明確にするため、Cu1+8(Cu2+,Fe2+)S5という式が用いられたこともあった。合成実験では二価の金属元素でFe2+(二価鉄)と同等の働きをするものであれば、同構造のものが作成される。Fe2+のかわりにNi2+(二価ニッケル)を入れたものが合成されている。自形は擬等軸の菱面体(りょうめんたい)のものが報告されているが非常にまれである。約75℃で等軸晶系の高温相に転移する。そのため反射顕微鏡用の研磨片の作成では、摩擦熱で容易に転移が起こり、真の組織が観察されないこともある。

 各種銅鉱床に産し、初生のものも二次的生成のものもある。日本では愛知県新城(しんしろ)市中宇利(なかうり)鉱山閉山)の正マグマ性磁鉄鉱鉱床の一部に産する。また静岡県下田市河津(かわづ)鉱山(閉山)の浅熱水性金・銀・銅鉱床では、輝銅鉱を主とする塊状の高品位銅鉱石中の一成分をなす。共存鉱物は輝銅鉱、デュルレ鉱、斑銅鉱(はんどうこう)、黄銅鉱、黄鉄鉱、石英など。同定は輝銅鉱よりもさらに青味がかった黒色であることによる。輝銅鉱やデュルレ鉱よりは明らかに粉末になりやすいが、混入物があると、この違いはかならずしも明らかでない。英名はギリシア語のdi(二つの)とgen(性)を合成した語で、前述したようにこの鉱物がCu1+とCu2+の両方を含む原子価状態であることから、命名された。

[加藤 昭 2018年10月19日]


方輝銅鉱(データノート)
ほうきどうこうでーたのーと

方輝銅鉱
 英名    digenite
 化学式   Cu9S5
 少量成分  Fe
 結晶系   三方。擬等軸
 硬度    2.5~3
 比重    5.71
 色     帯青黒
 光沢    金属
 条痕    黒
 劈開    無
       (「劈開」の項目を参照)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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