世界遺産詳解 の解説 ことかまくらのじいんじんじゃほか【古都鎌倉の寺院-神社ほか】 1992年に日本の世界遺産暫定リストに記載された文化遺産。構成資産は、鶴岡八幡宮と荏柄(えがら)天神社の2つの神社、建長寺・円覚寺・鎌倉大仏をはじめとする9つの寺院、永福寺(ようふくじ)跡をはじめとする3つの寺院跡、北条氏常盤亭跡、朝夷奈(あさひな)切通(きりどおし)、名越(なごえ)切通など5つの切通、和賀江嶋(わかえじま/わかえのしま)の港跡。登録地域は577ha、それを保護する緩衝地帯1466haで、朝夷奈切通の一部と称名寺が横浜市、名越切通の一部と和賀江嶋の一部が逗子市に含まれ、それ以外はすべて鎌倉市に属している。源頼朝によって幕府が開かれた鎌倉は、武家の支配体制が築かれた場所であり、草創期以降の武家文化を現代に伝えている。三方を囲まれた山の稜線を掘り下げた交通路、切通がつくられ、山肌に入りこんだ谷(谷戸)に武家や僧侶の墓、供養のための仏殿などがつくられ、海上には現存最古の築港・和賀江嶋が設けられた。また、茶の湯、禅など、その後の日本文化の根幹を成す文化が育まれた。そこで、文化審議会の後押しもあり、2012年1月に推薦書が世界遺産センターに提出され、9月に国際記念物遺跡会議(ICOMOS)の調査団が訪れた。しかし2013年4月に「登録にふさわしくない」との勧告を受けた。その主たる理由は、「当時の都市計画や経済生活などを示す資産が含まれておらず、武家の文化的伝統を伝承する物的証拠が少ない」とされた。ユネスコ世界遺産委員会で正式に「不登録」が決定されると再推薦ができなくなるため、推薦を取り下げて、神奈川県や鎌倉市などは再推薦の機会を待つことにした。 出典 講談社世界遺産詳解について 情報