改訂新版 世界大百科事典 「各務鎌吉」の意味・わかりやすい解説
各務鎌吉 (かがみけんきち)
生没年:1868-1939(明治1-昭和14)
実業家。岐阜県の農家の次男に生まれ,東京高等商業学校(現,一橋大学)を卒業,1891年東京海上保険(現,東京海上火災保険)に入社。ロンドンで保険業務を研究し,その成果にもとづき,海外代理店の整理,決算制度の改正,減資などを行い,経営不振の同社を再建した。本店営業部長,専務取締役を経て1925年に取締役会長になり,同社を世界的な大保険会社に育てあげた。明治火災など保険会社の重役を兼ねたのをはじめ,損害保険業界の指導的経営者として,大日本火災保険協会,日本海上保険協会などの設立や運営に尽くした。晩年には日本郵船社長に就任し経営合理化を進め,また三菱本社である(株)三菱社の取締役をも兼任した。三菱系企業の重鎮として財界に活躍し,内閣審議会委員や大蔵省顧問などを務め,日本経済連盟会常務理事にも就任した。30年貴族院議員に勅選。
執筆者:杉山 和雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報