吐酒石(読み)トシュセキ

百科事典マイペディアの解説

吐酒石【としゅせき】

化学式はK(SbO)C4H4O6・1/2 H2O。酒石酸アンチモニルカリウムの別称。甘味ある無色無臭の結晶。水に溶け,アルコールに不溶。かつて末梢性催吐剤,去痰(きょたん)剤などとして用いたが,下痢,虚脱などの副作用を起こしやすく,現在では使用しない。媒染剤。酒石(酒石酸水素カリウム)の水溶液に酸化アンチモン(III)Sb2O3を溶かして冷却すると得られる。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

大辞林 第三版の解説

としゅせき【吐酒石】

酒石酸のカリウムアンチモン塩のこと。無色の粉末結晶。斜方晶系。催吐・去痰きよたん薬。また、媒染剤にする。酒石酸アンチモニルカリウム。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

吐酒石
としゅせき
tartar emetic

酒石酸アンチモニルカリウム(酒石酸カリウムアンチモニウム)ともいい、17世紀ころから医薬品として使われてきた。現在ではまったく使用されていない。かつては第四性病、カラ・アザール、日本住血吸虫症、肝ジストマ、フィラリア症など、抗原虫剤として使用された。副作用として悪心(おしん)、嘔吐(おうと)がみられることから催吐剤としても用いられ、また去痰(きょたん)作用もみられることから去痰剤としても使用されたことがある。しかし、下痢や腹痛など副作用が強く、前述のように現在は使用されていない。なお、農薬として殺虫剤などに使われるほか、繊維や皮革類の媒染剤、あるいは分析試薬などとしての用途が知られる。[幸保文治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典の解説

としゅ‐せき【吐酒石】

〘名〙 酒石酸塩の一つ。化学式 C4H4O6KSbO・½H2O 無色、斜方晶系の粉末状結晶。酒石酸水溶液中で三酸化二アンチモンを熱してつくる。劇薬。殺虫剤として農薬、繊維・皮革工業での媒染剤、分析用試薬とされ、医薬品としては催吐剤、去痰剤、皮膚刺激剤、抗原虫剤などに用いられたが、腹痛・下痢など副作用が強く、現在では使用されない。酒石酸カリウムアンチモン。〔造化妙々奇談(1879‐80)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

関連語をあわせて調べる

今日のキーワード

別腹

1 これ以上は食べられない満腹状態でも甘い菓子なら食べられることを、別の腹に入るといった語。「甘いものは別腹」2 「べっぷく(別腹)」に同じ。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android