吐酒石(読み)トシュセキ(英語表記)tartar emetic

翻訳|tartar emetic

デジタル大辞泉 「吐酒石」の意味・読み・例文・類語

としゅ‐せき【吐酒石】

酒石酸溶液に三酸化アンチモンを加えて作る、無色の粉末状の結晶劇薬。かつては駆虫薬催吐薬とされたが、副作用が強く、現在はほとんど用いられない。農薬媒染剤・試薬などに使用酒石酸カリウムアンチモニウム酒石酸アンチモニルカリウム

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精選版 日本国語大辞典 「吐酒石」の意味・読み・例文・類語

としゅ‐せき【吐酒石】

  1. 〘 名詞 〙 酒石酸塩の一つ。化学式 C4H4O6KSbO・½H2O 無色、斜方晶系の粉末状結晶。酒石酸水溶液中で三酸化二アンチモンを熱してつくる。劇薬。殺虫剤として農薬、繊維・皮革工業での媒染剤、分析用試薬とされ、医薬品としては催吐剤、去痰剤、皮膚刺激剤、抗原虫剤などに用いられたが、腹痛下痢など副作用が強く、現在では使用されない。酒石酸カリウムアンチモン。〔造化妙々奇談(1879‐80)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「吐酒石」の意味・わかりやすい解説

吐酒石
としゅせき
tartar emetic

酒石酸アンチモニルカリウム(酒石酸カリウムアンチモニウム)ともいい、17世紀ころから医薬品として使われてきた。現在ではまったく使用されていない。かつては第四性病、カラ・アザール、日本住血吸虫症、肝ジストマフィラリア症など、抗原虫剤として使用された。副作用として悪心(おしん)、嘔吐(おうと)がみられることから催吐剤としても用いられ、また去痰(きょたん)作用もみられることから去痰剤としても使用されたことがある。しかし、下痢や腹痛など副作用が強く、前述のように現在は使用されていない。なお、農薬として殺虫剤などに使われるほか、繊維や皮革類の媒染剤、あるいは分析試薬などとしての用途が知られる。

[幸保文治]

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百科事典マイペディア 「吐酒石」の意味・わかりやすい解説

吐酒石【としゅせき】

化学式はK(SbO)C4H4O6・1/2 H2O。酒石酸アンチモニルカリウムの別称。甘味ある無色無臭の結晶。水に溶け,アルコールに不溶。かつて末梢性催吐剤,去痰(きょたん)剤などとして用いたが,下痢,虚脱などの副作用を起こしやすく,現在では使用しない。媒染剤。酒石(酒石酸水素カリウム)の水溶液に酸化アンチモン(III)Sb2O3を溶かして冷却すると得られる。

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化学辞典 第2版 「吐酒石」の解説

吐酒石
トシュセキ
tartar emetic

[同義異語]ビス(タルトラト)二アンチモン(Ⅲ)酸カリウム

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