生命の危険がある妊婦、胎児、新生児を24時間体制で受け入れ高度医療を行う緊急医療施設。周産期は出産前後を意味することばで、妊娠22週から生後7日未満の期間をさす。周産期母子医療センターは重い妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)、合併症妊娠、切迫早産、胎児異常などに対応し、産科や新生児科のほか内科・外科・精神科などが連携して医療を行う。慢性的に産科医や分娩(ぶんべん)施設が不足し、晩婚化で低体重児などリスクの高い出産が増えるなか、産科医療の「最後の砦(とりで)」とされる。
厚生省(現、厚生労働省)が1996年(平成8)に指針を設けて整備支援を始めた。周産期医療の中核を担う「総合周産期母子医療センター(総合センター)」と、それに近い設備や医療従事者数をもつ「地域周産期母子医療センター(地域センター)」の2種類があり、都道府県が指定する。このうち総合センターは、新生児集中治療室(NICU:neonatal intensive care unit)9床以上、母体・胎児集中治療管理室(MFICU:maternal-fetal intensive care unit)6床以上、治療中の新生児を転院搬送するドクターカーなどを保有し、つねに2人以上の産科医が待機し、常時受け入れ可能な体制を整えている。2014年(平成26)4月時点で全国に総合センターが100施設、地域センターが292施設ある。通常の分娩は地域の医療施設(病院、診療所、助産所)が受け持つが、生命の危険がある母子については、不足する産科医を集中させた周産期母子医療センターで対応することで効率的に高度な治療を行うねらいがある。
しかし、2008年には、脳出血を起こした妊婦が八つの病院から受入れを拒否され、総合周産期母子センターである東京都立墨東(ぼくとう)病院で出産後に死亡する事故があった。このため厚生労働省は2010年に指針を改定し、産科以外の緊急医療にも対応できる機能を総合センターに指定するための条件に加えた。同省は都道府県に対し補助金を交付して周産期母子医療センターの整備を支援している。
[編集部 2015年3月19日]
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