伝統的な芸能、とくに能、歌舞伎(かぶき)、邦楽、邦舞などの舞台芸能の世界において、ある流派のうちで、もっとも由緒正しく権威と格式をもっている家をさしていう称号、あるいは敬称。能の観世(かんぜ)宗家、歌舞伎の市川宗家のように用いられる。茶道、花道、香道などの生活芸能や、古い伝統を伝える職人芸の分野では、家元はあっても宗家の称はない。近世の、それも比較的新しい時代に、家元という称をもてなかった舞台芸能の分野で、それにあたるものとして生まれた用語と考えられるが、詳細は不明。現代では、伝統芸能界の複雑な人間関係を処理する便法の一つとして、家元と宗家を分けてもっている分野が目だつ。
[服部幸雄]
共通の先祖をもつ子孫たちによる血縁集団において,始祖からの直系の家系をさす。出自が家系の根幹をなすことや始祖以来代々直系の先祖を祭ることなどから,他の分家に対して地位的権威をもつ。同族集団や沖縄の門中(もんちゅう)集団における総本家,また茶道・華道や舞踊など伝統芸能の家元を宗家とよぶこともある。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…門中は,墓祭を行うための資金を確保し,また高名な祖先の遺した文物があればそれを保存するために,共有の財産(位土と呼ばれる田畑,墓地を置く山林,集会を開くための祭閣など)をもち,有司や門長などの役員をおいて事務を処理する。門中の始祖から代々その後継ぎとなってきた家(長男の系統)を宗家(チョンガchongga),その当主を宗孫(チョンソンchongson)と呼ぶが,これは門中の象徴的中心である。
[本貫,族譜,門中]
出自(同一の祖先の子孫であること)を示すのが姓と本貫である。…
※「宗家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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