和魂(読み)ニキタマ

デジタル大辞泉 「和魂」の意味・読み・例文・類語

にき‐たま【魂】

後世は「にぎたま」とも》「にきみたま」に同じ。
大君の―あへや豊国の鏡の山を宮と定むる」〈・四一七〉

わ‐こん【和魂】

日本人固有の精神。やまとだましい。

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精選版 日本国語大辞典 「和魂」の意味・読み・例文・類語

にき‐たま【和魂】

  1. 〘 名詞 〙 ( 後世は「にぎたま」とも ) 温和な親しむべき神霊。にきみたま。
    1. [初出の実例]「大君の親魄(にきたま)あへや豊国の鏡の山を宮と定むる」(出典万葉集(8C後)三・四一七)

和魂の補助注記

( 1 )「にき」は「あら」の対で、「にこ」と同意。表記は、「和」「柔」が用いられる。
( 2 )「にこ」に対して「にき」は神霊に関する複合語を作ることが多い。


わ‐こん【和魂】

  1. 〘 名詞 〙 日本人固有の精神。やまとだましい。
    1. [初出の実例]「禁中の御学問所なる御学則にも、和魂の事を専とせさせ給へる由是を承り」(出典:異人恐怖伝(1850)刻異人恐怖伝論)

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改訂新版 世界大百科事典 「和魂」の意味・わかりやすい解説

和魂 (にぎみたま)

和御魂とも書く。日本の神霊観の一つ。荒魂(あらみたま)に対していう。神霊は異なる霊能をもつ霊魂複合によってはたらくという信仰のあらわれで,和魂は主として神霊の静的な通常の状態における穏和な作用,徳用をさす。これに対して,荒魂は活動的で勇猛,剛健な作用をさしていう。人の日常の行為にも平静と活動との二面があるが,その作用をおこさせる原動力は個別に存在するものと考えられ,神霊も平常のときには一つの神格に統一され別個のはたらきは見せないが,時と場合に応じて分離し,単独に一個の神格としてはたらくものと信じられたのである。そこで,神をまつるにあたっても,和魂だけをまつる場合も,荒魂だけをまつる場合もある。例えば,神功(じんぐう)皇后の〈三韓征伐〉に際して功績があったとされる住吉(すみのえ)神(底筒男命,中筒男命,表筒男命3神の総称)は,和魂が摂津(大阪府)の住吉大社に,荒魂が長門(山口県)の住吉神社にまつられている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「和魂」の意味・わかりやすい解説

和魂
にぎみたま

荒魂・和魂

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世界大百科事典(旧版)内の和魂の言及

【荒魂】より

…物事に対して激しく活動する神霊をいい,和魂(にぎみたま)に対して称する。古く日本人は神の霊魂の作用および徳用を異なる作用を持つ霊魂の複合によると考えた。…

【神】より

…氏神は,氏族を守護する典型的な守護霊の機能をその基盤にもっているのである。ところでタマの立場から見た場合,古代には和魂(にぎみたま)と荒魂(あらみたま)の対立があった。タマが人知を超えた力を発揮すると,それはモノノケ(物の怪)の出現ととらえられ,別にタタリ(祟り)と表現された。…

※「和魂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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