営城子壁画墓(読み)えいじょうしへきがぼ(その他表記)Yíng chéng zǐ bì huà mù

改訂新版 世界大百科事典 「営城子壁画墓」の意味・わかりやすい解説

営城子壁画墓 (えいじょうしへきがぼ)
Yíng chéng zǐ bì huà mù

中国遼寧省大連市営城子会牧城駅屯の後漢墳墓の一つ(2号墓)。1931年に調査され,壁画をもつことで著名である。封土は南北約36m,東西約27m,高さ約4.5mが残存し,墓室は小塼で穹窿きゆうりゆう)状に築かれ,前室,主室と四周の回廊,東と北の側室から成る。壁画は塼壁上に白漆喰を厚く塗り,十分乾かぬうちに筆をおろした〈フレスコ〉手法で描かれ,描線は大部分が墨で要所に朱と黄土を混じえる素描風のものである。壁画のうち主室奥壁にあたる北壁内面が最も主要で,横2.8m,高さ2.2mの壁面上段左方に渦雲に乗る有翼神人および飛鳥を背にした有髯老人と,右方に竜と侍僮を背にした佩剣人物とが向かい合う。右方の人物は脚下に雲気が描かれ,おそらく昇天する墓の被葬者の姿であろう。下段は案上の酒尊と耳杯の捧げ物を前に伏拝,跪拝,立拝の3人物を描く。他の四面の壁画はいずれも通路両側の壁面にあり,上部の怪獣形や左右の武人と虎など主室守護の情景を示す。盗掘のため副葬品灰陶の井戸,竈,盒(ごう),俑(よう),耳杯,灰陶彩画の家屋,五枝灯,案などの明器のみである。塼築と石築の違いはあるが,墓室の平面は遼陽付近の石築壁画墓と近く,副葬品とあわせ,この墓がほぼ後漢後半のものであることを示している。なお道路工事のため破壊されたが,ほぼ同時期の1号墓があった。
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百科事典マイペディア 「営城子壁画墓」の意味・わかりやすい解説

営城子壁画墓【えいじょうしへきがぼ】

中国,遼寧省の南部,旅順北方の営城子にある後代の【せん】室墓。1910年,1912年に中国東北南部を調査した浜田耕作により発掘され,明器瓦器,漆器等が出土。さらに1931年の調査で第2号墓の主室から壁画が発見された。入口には【き】頭(きとう),守門人,主室には仙人怪神,鳥などが描かれている。漢代絵画研究の貴重な資料。

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