行政庁が,ある営業をしている者に対して,一時的にその営業を禁止し,またはすでに与えられた営業許可の効力を停止する(営業を許されているという法的な地位を一時的に消滅させる)行為。主として,その営業を規制する法令や許可条件に対する違反行為があった場合に,その違反行為が継続されることを防ぎ,かつ,これに制裁を加えるために行われる。訴訟手続を経る必要がなく,また,相手方に深刻な不利益を与えるものであることから,〈営業許可の取消し〉とともに,規制の実効を確保する手段として罰金などに比べて効果が大きいとされ,各種の法令に規定が置かれている。もっとも,営業の自由を保護する見地から,いかなる場合にどの程度の期間の営業停止処分をなしうるかの基準は法令で定められていることが多い。行政手続法(1993)の定める不利益処分に関する規定が適用される。なお,営業停止処分を受けた相手方があえて営業を続行した場合については,罰則が定められているのが通例である。
→許可営業 →食品衛生 →風俗営業
執筆者:小早川 光郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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