嘶く(読み)イナナク

デジタル大辞泉 「嘶く」の意味・読み・例文・類語

いな‐な・く【×嘶く】

[動カ五(四)]馬が声高く鳴く。「一声高く―・く」
[類語]鳴く吠える囀る集く咆哮する遠吠えする時をつくる・喉を鳴らす・吠え立てる・唸るたけうそぶ鳴き頻る鳴き立てる歌う地鳴き笹鳴き蝉時雨虫時雨

い‐な・く【×嘶く/×嘽く】

[動カ四]《「い」は馬の鳴き声》馬が声高く鳴く。いななく。
「衣手葦毛あしげの馬の―・く声心あれかも常ゆに鳴く」〈・三三二八〉

ころろ・く【×嘶く】

[動カ四]ころころと鳴る。ころころと音をたてる。
うじたかれ―・きて」〈・上〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「嘶く」の意味・読み・例文・類語

い‐な・く【&JISF1C1;・嘶】

  1. 〘 自動詞 カ行四段活用 〙 ( 「い」は馬の鳴き声 ) 馬がひひんと鳴く。いななく。
    1. [初出の実例]「衣袖(ころもで)葦毛の馬の嘶(いなく)声心あれかも常ゆ異(け)に鳴く〈作者未詳〉」(出典万葉集(8C後)一三・三三二八)

嘶くの語誌

万葉‐二九九一」では「馬声蜂音石花蜘蟵(いぶせくも)あるか」のように「馬声」をイとよんでいる。「落窪‐二」には「いうといななきて」とあるが、「いう」は現在のヒンにあたる。


ころろ・く【嘶】

  1. 〘 自動詞 カ行四段活用 〙 ( 擬声語「ころろ」の動詞化 ) ころころ音をたてる。声がかれてのどが鳴る。
    1. [初出の実例]「うじたかれ許呂呂岐(コロロキ)て」(出典:古事記(712)上)

いな‐な・く【嘶】

  1. 〘 自動詞 カ行五(四) 〙 馬が声高く鳴く。いなく。いばえる。〔十巻本和名抄(934頃)〕
    1. [初出の実例]「この馬ぬしの別をしたひつつ、〈略〉二三度までこそいななきけれ」(出典:平家物語(13C前)九)

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