地鳴き(読み)ジナキ

デジタル大辞泉 「地鳴き」の意味・読み・例文・類語

じ‐なき〔ヂ‐〕【地鳴き】

繁殖期の鳥のさえずりに対して、平常の鳴き方のこと。
[類語]鳴くさえずすだえるいなな咆哮ほうこうする遠吠えする時をつくる・喉を鳴らす・吠え立てる・唸るたけうそぶ鳴き頻る鳴き立てる歌う笹鳴き蝉時雨虫時雨

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改訂新版 世界大百科事典 「地鳴き」の意味・わかりやすい解説

地鳴き (じなき)
call note

鳥が出すさえずり以外の鳴き声。地味で単純な声であることが多い。さえずりは普通繁殖期にしか出されないが,地鳴きは一年を通じて出される。ウグイスではホーホケキョがさえずり,チャッチャッが地鳴き(この鳥の場合は特別に〈笹鳴き〉とも言われる)。地鳴きは,個体間の居場所の確認,警戒威嚇争いなどに使われる。さえずりは種ごとに異なっているが,地鳴きは種が違っても似ていることがある。特に同じ地域内に隣り合ってすむ鳥の間には,同じ声が発達している傾向がある。例えばホオジロ類の多くは,よく似たチッという声を出すし,ツグミ類もチーという共通の声をもっている。これらの声は警戒のときなどによく発せられ,どの種の個体が出しても他個体はそれに反応する。この警戒信号の意味をもつ声は,声そのものはわかっても所在はわかりづらいという特性をもっている。地鳴きはおそらく,外敵に居場所を知らせないために発達した特性であろう。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「地鳴き」の意味・わかりやすい解説

地鳴き
じなき

鳥が発するさえずり以外の声をいう。「ピー」とか「チー」といった単純でじみな声であることが多い。さえずりはおもに繁殖期にしか出されないが、地鳴きは1年を通じて出される。また、雄だけでなく、雌も出す。地鳴きには、個体認知、居場所の連絡、脅し、警告など、いろいろな意味と役割がある。個体認知には、個体による声のわずかな違いが利用される。一方、外敵の出現を知らせる警告に使われる声は、種が違っても似ている傾向がある。大形ツグミ類が出す「シー」という声、ホオジロ類が出す「チッ」という声などが、その好例である。こうした警告声は、はっきりとは聞こえても、音源の位置を定めにくいという音声上の特徴をもっている。必要な情報だけを仲間に伝え、外敵には位置を知らせないという必要から警告声が発達してきたものと思われる。

樋口広芳]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「地鳴き」の意味・わかりやすい解説

地鳴き
じなき

鳥の鳴き声のうち,さえずり以外のものをさす。一般に短い単音から成る。機能的にはさまざまなものを含んでいるが,いずれも同種個体間のシグナルとして役立っている。

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世界大百科事典(旧版)内の地鳴きの言及

【さえずり(囀り)】より

…鳥が繁殖期に出す特殊な美しい鳴き声。地鳴きに対する語。分類学上のスズメ目の鳥で特によく発達しており,さえずるのは一般に雄である。…

【発音器官】より

… 鳥類の鳴管で発振された音声は気管末端にある鼓室で共鳴する。鳥の鳴声はさえずり地鳴きに大別され,重要な社会的機能を果たしている。 両生類では喉頭の内部にある声帯が空気の流通に際して震動し,音を発生する。…

※「地鳴き」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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