鳥が出すさえずり以外の鳴き声。地味で単純な声であることが多い。さえずりは普通繁殖期にしか出されないが,地鳴きは一年を通じて出される。ウグイスではホーホケキョがさえずり,チャッチャッが地鳴き(この鳥の場合は特別に〈笹鳴き〉とも言われる)。地鳴きは,個体間の居場所の確認,警戒,威嚇,争いなどに使われる。さえずりは種ごとに異なっているが,地鳴きは種が違っても似ていることがある。特に同じ地域内に隣り合ってすむ鳥の間には,同じ声が発達している傾向がある。例えばホオジロ類の多くは,よく似たチッという声を出すし,ツグミ類もチーという共通の声をもっている。これらの声は警戒のときなどによく発せられ,どの種の個体が出しても他個体はそれに反応する。この警戒信号の意味をもつ声は,声そのものはわかっても所在はわかりづらいという特性をもっている。地鳴きはおそらく,外敵に居場所を知らせないために発達した特性であろう。
執筆者:樋口 広芳
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
鳥が発するさえずり以外の声をいう。「ピー」とか「チー」といった単純でじみな声であることが多い。さえずりはおもに繁殖期にしか出されないが、地鳴きは1年を通じて出される。また、雄だけでなく、雌も出す。地鳴きには、個体認知、居場所の連絡、脅し、警告など、いろいろな意味と役割がある。個体認知には、個体による声のわずかな違いが利用される。一方、外敵の出現を知らせる警告に使われる声は、種が違っても似ている傾向がある。大形ツグミ類が出す「シー」という声、ホオジロ類が出す「チッ」という声などが、その好例である。こうした警告声は、はっきりとは聞こえても、音源の位置を定めにくいという音声上の特徴をもっている。必要な情報だけを仲間に伝え、外敵には位置を知らせないという必要から警告声が発達してきたものと思われる。
[樋口広芳]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… 鳥類の鳴管で発振された音声は気管末端にある鼓室で共鳴する。鳥の鳴声はさえずりと地鳴きに大別され,重要な社会的機能を果たしている。 両生類では喉頭の内部にある声帯が空気の流通に際して震動し,音を発生する。…
※「地鳴き」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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