囀る(読み)サエズル

デジタル大辞泉 「囀る」の意味・読み・例文・類語

さえず・る〔さへづる〕【×囀る】

[動ラ五(四)]《「さいずる」の音変化》
小鳥がしきりに鳴く。「カナリアの―・る声」 春》「―・るも帰りがけなる小鳥かな/浪化
口数多く早口でしゃべるのを軽蔑していう。ぺちゃくちゃしゃべる。「よく―・る女の子だ」
地方の人や外国人などが耳慣れない言葉でしゃべる。
「そこはかとなく―・るも、心の行くは同じこと」〈須磨
[可能]さえずれる
[類語]鳴く吠える嘶く集く咆哮する遠吠えする時をつくる・喉を鳴らす・吠え立てる・唸るたけうそぶ鳴き頻る鳴き立てる歌う地鳴き笹鳴き蝉時雨虫時雨

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「囀る」の意味・読み・例文・類語

さえず・るさへづる【囀】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 小鳥がしきりに鳴く。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「副之長歌、奉献其長歌詞曰、は枝に遊て飛舞て囀歌ひ」(出典:続日本後紀‐嘉祥二年(849)三月庚辰)
    2. 「もも千鳥さへづる春は物ごとにあらたまれども我ぞふりゆく〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)春上・二八)
  3. 口数多く早口でしゃべる。
    1. [初出の実例]「いとよげに、いま少しさえづればいふかひなしと思して」(出典:源氏物語(1001‐14頃)常夏)
  4. 外国人や地方の人、身分のいやしい者などが、聞き分けにくい言葉でしゃべる。
    1. [初出の実例]「あやしき賤の男のさへづりありくけしきどもまで」(出典:紫式部日記(1010頃か)寛弘五年九月一五日)
    2. 「此の胡(えびす)の人一時許(ばかり)(さへづり)合て」(出典:今昔物語集(1120頃か)三一)
  5. 雅楽で、舞いながら漢詩句などを朗詠する。
    1. [初出の実例]「千歳法 しかさへづる声」(出典:神楽歌(9C後)千歳法)
  6. ぺちゃくちゃととめどもなく話すのを蔑(さげす)んでいう。
    1. [初出の実例]「口をたたきさえつる者を、饒舌と云ぞ」(出典:玉塵抄(1563)四二)
    2. 「何かツベコベと端手(はした)なく囀ってゐた」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉二)

さいず・るさひづる【囀】

  1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙さえずる(囀)〔黒本本節用集(室町)〕

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