唸る(読み)ウナル

デジタル大辞泉 「唸る」の意味・読み・例文・類語

う‐な・る【×唸る】

[動ラ五(四)]《「う」は擬声語
力を入れたり苦しんだりするときに、長く引いた低い声を出す。うめく。「痛くてうんうん―・る」
獣が低く力の入った声を出す。「犬が―・る」
鈍く低い音を長く響かせながら出す。「モーターが―・る」「風が―・る」
謡曲浄瑠璃などを、のどをしぼるように低音でうたったり語ったりする。「義太夫を―・る」
感嘆のあまり、思わず、1のような声を出す。ひどく感心する。「満員観衆を―・らせる」
内に満ちている力が、あふれ出るばかりになる。「腕が―・る」「金が―・るほどある」
[類語](1呻く呻吟阿鼻叫喚/(2鳴くさえずすだえるいなな咆哮ほうこうする遠吠えする時をつくる・喉を鳴らす・吠え立てる・たけうそぶ鳴き頻る鳴き立てる歌う地鳴き笹鳴き蝉時雨虫時雨/(3響く鳴る鳴り響く鳴り渡る通る伝わるとどろ高鳴るどよむどよめく響き渡る聞こえる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「唸る」の意味・読み・例文・類語

う‐な・る【唸・呻】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
  2. 力を入れたり、苦しんだり、感心したりして、長く引いた低い声を出す。うんうんいう。うめく。
    1. [初出の実例]「かけとりが来ると作兵衛うなり出し」(出典:雑俳・柳多留‐三五(1806))
  3. 力を入れ、長く声を引いて歌う。謡曲、浄瑠璃、小唄浪曲などにいい、特にへたな歌い方にいうことがある。
    1. [初出の実例]「さて我が詩を吟じてうなるに伴(ともな)へと云ぞ」(出典:四河入海(17C前)八)
    2. 「江戸節を喊(ウナ)る爺さまにて、いつも長湯の名をあらはし」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)前)
  4. 獣が怒ったりして低い声を出す。ほえる。
    1. [初出の実例]「うなり出でたるあれじしの」(出典:浄瑠璃・曾我虎が磨(1711頃)下)
  5. 低く鈍い音を出して鳴る。凧(たこ)の音、楽器や鐘の音、虫の羽音などにいう。
    1. [初出の実例]「うなった鐘の脉を引花曇」(出典:雑俳・柳多留‐一六七(1838‐40))
  6. 立派な様子や豪勢な様子などを見て、思わず声を発するほど感心する。芝居で見物人が感嘆の声を発する。
    1. [初出の実例]「見物がうなりました。類なし類なし」(出典:続歌舞妓年代記(1907)二一)
  7. 羽振りよくする。豪勢にする。また、すばらしい様子をする。
    1. [初出の実例]「世中にたへておやぢのなかりせば、うなる心はのどけからまし」(出典:評判記・たきつけ草(1677))
  8. 金品が豊富にある。あり余る。
    1. [初出の実例]「江戸へ御下りなされませうば、太夫さまへさぞ置みやげが、うなった事でござりませふ」(出典:浮世草子・傾城色三味線(1701)京)
  9. 力が内に積もりあふれてむずむずする。「腕がうなる」

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