泣く(読み)ナク

デジタル大辞泉 「泣く」の意味・読み・例文・類語

な・く【泣く/鳴く/×啼く】

[動カ五(四)]
(泣く)
㋐悲しみ・苦しみ・喜びや痛さなどをおさえることができず、声をあげたり、涙を出したりする。「うれし泣きに―・く」「大声をあげて―・く」「話に感動して―・く」
㋑身にしみて、つらい思いをする。苦労を経験する。「悲運に―・く」「悪天候に―・く」
㋒無理や損を知りつつ承知する。権利をあきらめたり、しかたなく身をひいたりする。「ここは一つ君に―・いてもらおう」
㋓実際の内容と隔たりが大きく、それと名乗るのがはばかられる思いがする。「看板が―・く」「名門校の名が―・く」
染色や加工のとき染料が隣の色や白地の部分に浸出する。
(鳴く・啼く)鳥・虫・獣などが声を出す。「虫が―・く」「蛙がやかましく―・く」「きじも―・かずば撃たれまい」
(鳴く)物がきしんで音を立てる。「急カーブタイヤが―・く」「砂が―・く浜」
(鳴く)マージャンで、他の人の捨てたパイポンカンする。または、左隣の人の捨てた牌をチーする。
[可能]なける
[類語](1㋐)涙する涙ぐむむせすすり上げるしゃくり上げるき上げるこくする落涙する流涕りゅうていする涕泣ていきゅうする歔欷きょきする嗚咽おえつする慟哭どうこくする号泣する号哭ごうこくするめそめそする差し泣き明かす泣き暮らす泣き伏す泣き沈む泣き崩れる泣き濡れる泣き出す泣き叫ぶ泣き喚く泣き腫らす泣きじゃくるむせび泣く噎せ返る・泣き噎ぶ・すすり泣く忍び泣く涙に暮れる涙に沈む涙に噎ぶそでを絞るむずかるべそをかく/(1㋒)負ける値引きするおまけする勉強する奉仕するサービスする色を付ける/(2さえずすだえるいなな咆哮ほうこうする遠吠えする時をつくる・喉を鳴らす・吠え立てる・唸るたけうそぶ鳴き頻る鳴き立てる歌う地鳴き笹鳴き蝉時雨虫時雨

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「泣く」の意味・読み・例文・類語

な・く【泣・鳴・啼・哭】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 カ行五(四) 〙 ( 「ね(音)」と同語源の「な」が動詞化したもの ) 生物が種々の刺激によって声を発する。
    1. ( 鳴・啼 ) 鳥、獣、虫などが声を出す。
      1. [初出の実例]「青山に 鵼(ぬえ)は那伎(ナキ)ぬ さ野つ鳥 雉(きぎし)は響む 庭つ鳥 鶏(かけ)は那久(ナク) うれたくも 那久(ナク)なる鳥か」(出典古事記(712)上・歌謡)
    2. 人が、精神や肉体への刺激にたえかねて、声を出し、また涙を流す。
      1. [初出の実例]「引け鳥の 我が引け往なば 那迦(ナカ)じとは 汝は言ふとも」(出典:古事記(712)上・歌謡)
    3. 愚痴をこぼす。悔みごとを言う。
      1. [初出の実例]「なくとは、じゅっくゎいいふこと」(出典:新撰大阪詞大全(1841))
    4. 相手の無理を仕方なく承知する。また、損を覚悟で値引きする。
    5. 泣くようなひどいめにあう。辛酸をなめる。
      1. [初出の実例]「自分がスクープした時には、よその社のだれかが、泣いていることを知っているからだ」(出典:鉛筆ぐらし(1951)〈扇谷正造〉特オチ物語)
    6. 不当に評価されて不満足に思う。「看板が泣く」
    7. 染色で、染料が隣接した模様または模様外の白地に浸み出る。
    8. マージャンで、他の人の捨牌を(ポン)、槓(カン)する。または、左隣の上家(シャンチャ)の捨牌を吃(チー)する。
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 カ行下二段活用 〙 泣かせる。泣かす。→吾(あ)を哭(ね)し泣く

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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