中脳の背面にある上下2対、計4個の丸みを帯びた高まり。中脳蓋(がい)ともいわれる。上方にある左右1対は上丘で、視蓋ともいわれ、おもに視覚と眼球運動の統合を行うところと考えられている。下方の左右1対は下丘で、聴覚を伝える経路の中継点となっている。四丘体ないしはその周辺の病変に基づく一連の症状を四丘体症候群とよぶことがある。
[海老原進一郎]
このうちの一つとしてパリノーParinaud症候群がもっともよく知られ、上目使いや下目使い、寄り目ができなくなる垂直注視麻痺(まひ)や輻輳(ふくそう)麻痺、光を当てても瞳孔(どうこう)が収縮しなくなる対光反射消失がみられる。かつては、これらの症状は上丘の病変によるとされていた。また神経梅毒の際には、しばしば寄り目をさせたとき、瞳孔は収縮(縮瞳)するが、光を当てた場合は縮瞳しないというように、調節と光に対する瞳孔の反応が解離する。この際、瞳孔は小さくなっていることが多い。これをアーガイル・ロバートソンArgyll Robertson徴候とよぶ。下丘の病変では、同側性あるいは両側性に聴力が障害されるといわれていたが、このような症状は上丘や下丘の病変が直接組織を侵害するためではなく、上丘および下丘の下方にある中脳を圧迫、圧排するためにおこると考えられている。なお、四丘体症候群の病因としては、松果体腫瘍(しゅよう)などの腫瘍をはじめ、周辺部の血管障害、炎症(梅毒や結核など)、外傷などがあげられる。
[海老原進一郎]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… ヒトの中脳を外からみると,上面には左右合わせて四つの高まりがみられる。これらは四丘体quadrigeminumと呼ばれ,前方の1対は上丘superior colliculus,後方の1対は下丘inferior colliculusと名づけられている。中脳の下面には1対の大脳脚cerebral peduncleがある。…
※「四丘体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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