日本大百科全書(ニッポニカ) 「四平」の意味・わかりやすい解説
四平
しへい / スーピン
中国、吉林(きつりん)省南西端にある地級市。東遼河(とうりょうが)が大きく南へ曲がる地帯の広大な平原に位置する。2市轄区、1県、1自治県を管轄し、公主嶺(こうしゅれい)、双遼(そうりょう)の2県級市の管轄代行を行う(2016年時点)。常住人口338万6325(2010)。清(しん)末、ロシアが東清鉄道南部支線を敷設し、日露戦争の奉天会戦のあと、ロシア軍はここに撤退し、最後の会戦を行った。その直後日本の力で四平街鎮駅が開設された。市名は西方10キロメートルの四平街鎮(現、老四平)にちなむ。1910年ごろから発展し始め、整然たる都市計画が進み、1937年四平街市が設けられ、1941年に四平市となった。
京哈(けいは)線、平斉(へいせい)線(四平―チチハル)、四梅線(四平―梅河口(ばいかこう))、哈大線(ハルビン―大連(だいれん))が交差する。トウモロコシ、大豆、コウリャン、アワ、小麦、米、サトウダイコンなど付近の農作物や鉄、石炭、石灰石の集散地である。鉄鋼、エネルギー、化学、軍需工業が発達し、とりわけ機械製造を中心とする工業都市となっている。
[浅井辰郎・編集部 2017年7月19日]