国の特別会計の一つで,整理特別会計に属し,一般会計や各種の特別会計の債務の利払い,償還のための資金の整理,積立てを行うものである。公債や借入金の利子,政府短期証券の割引料等は一般会計等から繰り入れられ,それぞれの支払に充当されるが,償還のための資金は一般会計等からの繰入れのほか借換債の発行によって調達される。一般会計等からの繰入れについては,(1)前年度首の国債総額の1.6%(この対象は普通国債と外貨債に限られ,政府短期証券,借入金,出資国債等は除かれる),(2)決算剰余金の2分の1,(3)必要のある場合の予算措置による繰入れ,によって行われる。ただし(1)の定額繰入れは1982年以来税収不足などの事情により停止されることがなかった。また国際機関等への出資,国債の償還については,各機関から償還請求がありしだい償還することとなっており,必要に応じて一般会計等から繰り入れられる。借換債については,建設公債を60年間で償還することを前提として,たとえば新発の10年債であれば,満期到来時にその6分の5を借り換えることとされている。なお,1976年度以降に財政法4条の特例法により発行されている特例公債(赤字公債)については借換えは行わない旨,法律で規定されている。このように一般会計等から繰り入れられ,積み立てられた資金は減債基金として機能している。
本会計は,日露戦争時における国債の急増に対処するため,1906年に設けられ,15年以降は前年度首の国債残高の1万分の116以上の金額を一般会計から繰り入れることとされていた。一般会計等からの繰入れについては,諸変遷を経て,第2次大戦後はしばらくの間新規の国債が発行されず国債残高が減少したことから,53年度以降剰余金繰入れのみによって国債の償還に対処していたが,65年度以降の国債発行に伴い,68年の国債整理基金特別会計法の改正により現在の制度に至っている。
→特別会計
執筆者:吉田 和男
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国債の元金償還金および利子支払い、発行諸経費などの費用をまかなうために設置されている特別会計。この国債整理基金にあてるべき資金は、一般会計または特別会計より国債整理基金特別会計に毎年度繰り入れられている。国債の償還財源の繰入れについては、(1)前年度の4月1日における国債総額の100分の1.6に相当する金額を一般会計または特別会計から繰り入れる(定率繰入れ)とともに、(2)前々年度一般会計決算剰余金の2分の1以上の繰入れ(剰余金繰入れ)を行うほか、(3)必要に応じて予算措置による繰入れ(予算繰入れ)を行うことになっている。国債整理基金の資金は、原則として、国債を保有するか、資金運用部への貸付にしか使えないが、例外的に歳入欠陥の補填(ほてん)に使うことができる。1982年度(昭和57)以降は大幅な財政赤字が出ているため、定率繰入れは行われず、逆に歳入補填に使われている。
[藤野次雄]
1998年(平成10)以降、たばこ特別税の税収が、この会計の特定財源とされている。また2007年には、業務運営の効率化と大幅な事務費の削減が行われている。
[編集部]
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…しかしニューディール政策と第2次大戦により国債が累増したため,37年以降は減債制度が有名無実化し,61年の10億ドルの償還を除けば,基金による償還はまったく行われていない。 日本の減債基金は1906年日露戦争後の戦債処理を目的に,国債整理基金特別会計として設立された。当初は毎年度一般会計から一定額繰り入れられたが(1909年以降は毎年5000万円以上),15年以降は国債償還が進したため,国債の前年度期首残高の1.16%,ただし3000万円以上とされた。…
… 国債の償還については,通常,減債基金制度を設け,国の会計から一定の資金を繰り入れて計画的に償還されている。日本でも減債基金として国債整理基金特別会計が設けられ,次のように資金が繰り入れられている。(1)定率繰入れ 一般会計,特別会計を通じて前年度期首の国債総額の100分の1.6に相当する額の繰入れ。…
※「国債整理基金特別会計」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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