公共事業などの財源のために発行される公債であり、一般会計の歳入不足を補うために発行される赤字公債ないし特例公債と対比される。わが国の財政法第4条では、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以(もっ)て、その財源としなければならない」として、均衡予算主義の原則がとられているが、同第4条では続けて「但(ただ)し、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については、国会の議決を経た金額の範囲内で、公債を発行し又は借入金をなすことができる」と規定して、建設公債のみ発行を認めている(建設公債の原則)。これら3項目について公債発行を認めているのは、建設的支出は国民の資産として将来に残り、また将来世代もこの公共投資から便益を受けることができるので、世代間における公共投資の利益享受と負担の関係からみても望ましいという考え方に依存しているためである。建設国債は、1966年度(昭和41)に7300億円発行されて以来、毎年度発行されるようになり、84年度にはその9倍に近い約6兆2000億円が発行され、残高は約70兆円にも上っている。
[藤野次雄]
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…〈赤字〉とは経常収入が歳出をまかなうのに不足する状況であるから,公債(国債)はすべて赤字公債(赤字国債)といってよい。しかし,日本では,公債を赤字公債と建設公債とに分け,赤字公債に独特の意味をもたせている。それは,第2次大戦下の苦い経験から,国家財政の基本法である財政法(1947公布)において,公債発行を原則として禁止し,財政法4条1項で,例外的に公共事業,出資金および貸付金の財源として国会の議決を経た金額の範囲内で公債(これが建設公債であり,〈4条公債〉ともいわれる)を発行したり借入金をなすことができる,としている制度に由来する。…
…公債依存度は,1966年度の14.9%から70年度4.2%の水準まで低下したが,71年度12.4%となり,石油危機,それに続く不況から75年度以降急激に高まり,25%を上回る水準を続けたが,80年代に入ると税の自然増収の結果,減少傾向となり,95年度は17.7%である。公債には,日本の財政法もいうように,公共事業などの財源として発行される公債すなわち建設公債と,その限度を上回る公債すなわち赤字公債がある。建設公債には,政府資本形成を現世代と将来世代の負担の公平を図りながら実施するという積極的な役割もあるが,赤字公債には,深刻な不況に対処して財政消費をふやすという短期的な意義しかない。…
…すなわち財政法4条は,〈公共事業費,出資金及び貸付金の財源については,国会の議決を経た金額の範囲内で,公債を発行しまたは借入金をなすことができる〉こととしている。この場合の公債は建設公債といわれている。なお公共事業費の範囲については,毎会計年度,国会の議決を経なければならないとされており,予算総則にその範囲が明記されている。…
※「建設公債」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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