精選版 日本国語大辞典 「一般会計」の意味・読み・例文・類語
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国の基本的活動を遂行するのに必要な経費やそのための収入を経理する会計をいう。国の予算というときには、一般会計のみをさす場合が多い。
国が限られた予算を各種の活動に合理的に配分するためには、国の会計を一本にして、すべての歳入・歳出を統一的に経理することが望ましい(予算単一の原則)。しかし、国家の機能が複雑化、多様化してくると、一つの会計で巨大な収支を処理することは事実上不可能となり、経理内容を明確にし、政府の効率的運営を図るためには会計区分を設ける必要が生じてくる。そこで日本では、財政法(昭和22年法律第34号)によって、国が特定の事業を行う場合、特定の資金を保有してその運用を行う場合、その他特定の歳入をもって特定の歳出にあて一般の歳入・歳出と区分して経理する必要がある場合に限り、法律をもって特別会計を設置しうることとしている。また、一般行政と組織上は別ではあるが実質的には国の事業を行う公庫などの政府関係機関の予算も、一般会計とは別個に国会の審議・議決を経ている。なお、これら各種の会計間には密接な相互関係があり、歳入・歳出の重複がある。したがって予算の総額を知るためには、この重複を控除してみなければならない。
日本の一般会計における歳入は、租税および印紙収入、公債金収入およびその他収入から構成される。歳入総額に占める割合をみると、第二次世界大戦前(1934~36年度平均)では、租税および印紙収入が44.4%、公債金収入が29.6%で公債金収入の割合が非常に高かった。これは公債金収入で軍事費をまかなっていたからである。戦後は、1949年度(昭和24)から1964年度までは公債不発行主義がとられたので公債金収入はなく、租税および印紙収入は80%前後を占めていた。しかし、1965年度から公債発行が本格的に再開され、さらに1975年度から大幅な税収不足を補うために特例公債が発行されるようになると、公債金収入の割合はしだいに増加した。2009年度(平成21)における一般会計予算の歳入総額は88兆5480億円であるが、そのうち公債金収入は33兆2940億円で、一般会計歳入において37.6%という高い比率を占めている。公債金収入のうちでも建設国債は7兆5790億円で歳入総額の8.6%なのに、財政法第4条第1項但書の規定により発行される特例公債の額が25兆7150億円で29.0%という高い比率を占めている点は特筆に値する。特例国債は耐用年数が長く、将来世代が便益を享受できる公共財の供給の財源として支出される建設国債と異なり、経常的経費の財源とされるため、将来世代にとっては公共財の便益が対応しないのに元利償還の負担のみが将来世代に残される。
租税および印紙収入は46兆1030億円で一般会計歳入総額の52.1%を占め、その他収入が9兆1510億円で10.3%を占めている。租税および印紙収入の構成は、所得税が15兆5720億円で17.6%、法人税が10兆5440億円で11.9%、消費税が10兆1300億円で11.4%であり、以上が主要三税である。その他、揮発油税2兆6280億円(3.0%)、相続税1兆5220億円(1.7%)、酒税1兆4200億円(1.6%)、関税8460億円(1.0%)、たばこ税8430億円(1.0%)、自動車重量税6460億円(0.7%)、印紙収入9850億円(1.1%)となっている。
歳出はその年度の財政活動のために支出する経費であり、主要経費別、目的別、使途別などに分類される。主要経費別は、その年度の諸施策にどのように経費が配分されたかをもっとも端的に示すものであり、目的別は、経費が国家のいかなる機能に配分されたかを示すもので、もっとも体系的な分類であり、使途別は、財政資金をどんな形態で国民経済に還流するかを示すものである。戦前の歳出でもっとも大きなウェイトを占めていたのは防衛関係費で、1934~1936年度平均ではこの費目だけで歳出総額のなかば近くの45.8%を占め、ついで大きな費目である国債費、恩給関係費とあわせると、3費目だけで70.2%に及んでいた。これに対して、戦後は、社会保障関係費、文教および科学振興費、地方財政関係費、公共事業関係費などの占める割合が高くなった。2009年度一般会計歳出予算に占める比率は、社会保障関係費24兆8343億円(28.0%)、公共事業関係費7兆0700億円(8.0%)、文教および科学振興費5兆3103億円(6.0%)、防衛費4兆7741億円(5.4%)、国債費20兆2437億円(22.9%)、地方交付税交付金16兆1112億円(18.2%)、などが主要経費の大きな支出項目となっている。国債費のうち利払い費はそのおよそ半分の約9兆4000億円であるが、元本の償還は借り換えで対応するとしてもせめて利子支払いだけは経常収入である租税などから毎年度支払う必要があるから、将来の予算のうち歳出のきわめて高い割合を利払いが占めることになる。
なお、地方公共団体の会計も、国の会計と同様に一般会計および特別会計に分かれている。しかし地方によって若干その内容が異なっているので、国の予算などと関連して地方財政を全国的にみる場合には、一般会計と特別会計から公営事業会計を除いたものを普通会計として一般行政の規模・内容を表している。
[林 正寿]
(神野直彦 東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授 / 2008年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
…国または地方公共団体の財政を経理する会計として,一般的な歳出・歳入を経理する一般会計以外に,特定の分野について一般会計と分離して財政運営を行うための会計。財政は本来,その収支状況が全体として把握されるためには単一の会計により運営されることが理想であるが,財政の関与する範囲が拡大し,内容が複雑多岐となっているところから,分野によっては独立した会計によって運営されるほうが,より効率的に運営され,より明確に財政状況が把握される場合がある。…
…地方公共団体の活動は,住民全体に共通なサービスを提供し一般税収を主財源とする一般行政活動と,民間財に近いサービスを提供し料金収入に大きく依存する企業的活動とに大別される。それは国における一般会計と特別会計の区分にほぼ対応している。しかし,両会計の対象範囲が全国一様でないため,地方財政全体の一般行政活動と企業的活動を把握する場合などには,普通会計と公営事業会計という統一的区分が使用されている。…
※「一般会計」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報
少子化とは、出生率の低下に伴って、将来の人口が長期的に減少する現象をさす。日本の出生率は、第二次世界大戦後、継続的に低下し、すでに先進国のうちでも低い水準となっている。出生率の低下は、直接には人々の意...
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