デジタル大辞泉
「一般会計」の意味・読み・例文・類語
いっぱん‐かいけい〔‐クワイケイ〕【一般会計】
国および地方公共団体で一般の歳入歳出を経理する会計。→特別会計
[補説]日本の一般会計(決算額)の推移
【昭和55(1980)】
《入44.0》税26.9/国14.2/他3.0
《出43.4》般31.0/債5.5/地7.0
【昭和60(1985)】
《入54.0》税38.2/国12.3/他3.5
《出53.0》般33.1/債10.2/地9.7
【平成2(1990)】
《入71.7》税60.1/国7.3/他4.3
《出69.3》般39.0/債14.3/地15.9
【平成7(1995)】
《入80.6》税51.9/国21.2/他7.4
《出75.9》般50.8/債12.8/地12.3
【平成12(2000)】
《入93.4》税50.7/国33.0/他9.6
《出89.3》般53.0/債21.4/地14.9
【平成17(2005)】
《入89.0》税49.1/国31.3/他8.7
《出85.5》般50.9/債18.7/地15.9
【平成22(2010)】
《入100.5》税41.5/国42.3/他16.7
《出95.3》般57.4/債19.5/地18.4
単位は兆円で百億円以下を四捨五入。
入=歳入、税=租税および印紙収入、国=国債、他=その他
出=歳出、般=一般歳出、債=国債費、地=地方交付税交付金
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一般会計
社会保障や防衛、教育といった国の基本的な政策に充てるお金を管理する会計。税金を主な収入とする。「国の予算」と言う場合、通常は一般会計を指す。東日本大震災の復興、年金、特許の事務といった特定の事業に充てるお金の出し入れを管理する特別会計も別に存在する。
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いっぱん‐かいけい‥クヮイケイ【一般会計】
- 〘 名詞 〙 財政法に基づく国の会計の一つ。特別会計に属さない会計をすべて含み、租税、官業収入などを基本的な収入とし、一般行政、社会保障、文教、防衛などの支出をまかなう。⇔特別会計。
- [初出の実例]「製鉄所据置運転資本は〈略〉漸次一般会計より繰入す」(出典:作業会計法(明治二三年)(1890)二条)
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一般会計
いっぱんかいけい
general account
国の基本的活動を遂行するのに必要な経費やそのための収入を経理する会計をいう。国の予算というときには、一般会計のみをさす場合が多い。
国が限られた予算を各種の活動に合理的に配分するためには、国の会計を一本にして、すべての歳入・歳出を統一的に経理することが望ましい(予算単一の原則)。しかし、国家の機能が複雑化、多様化してくると、一つの会計で巨大な収支を処理することは事実上不可能となり、経理内容を明確にし、政府の効率的運営を図るためには会計区分を設ける必要が生じてくる。そこで日本では、財政法(昭和22年法律第34号)によって、国が特定の事業を行う場合、特定の資金を保有してその運用を行う場合、その他特定の歳入をもって特定の歳出にあて一般の歳入・歳出と区分して経理する必要がある場合に限り、法律をもって特別会計を設置しうることとしている。また、一般行政と組織上は別ではあるが実質的には国の事業を行う公庫などの政府関係機関の予算も、一般会計とは別個に国会の審議・議決を経ている。なお、これら各種の会計間には密接な相互関係があり、歳入・歳出の重複がある。したがって予算の総額を知るためには、この重複を控除してみなければならない。
日本の一般会計における歳入は、租税および印紙収入、公債金収入およびその他収入から構成される。歳入総額に占める割合をみると、第二次世界大戦前(1934~36年度平均)では、租税および印紙収入が44.4%、公債金収入が29.6%で公債金収入の割合が非常に高かった。これは公債金収入で軍事費をまかなっていたからである。戦後は、1949年度(昭和24)から1964年度までは公債不発行主義がとられたので公債金収入はなく、租税および印紙収入は80%前後を占めていた。しかし、1965年度から公債発行が本格的に再開され、さらに1975年度から大幅な税収不足を補うために特例公債が発行されるようになると、公債金収入の割合はしだいに増加した。2009年度(平成21)における一般会計予算の歳入総額は88兆5480億円であるが、そのうち公債金収入は33兆2940億円で、一般会計歳入において37.6%という高い比率を占めている。公債金収入のうちでも建設国債は7兆5790億円で歳入総額の8.6%なのに、財政法第4条第1項但書の規定により発行される特例公債の額が25兆7150億円で29.0%という高い比率を占めている点は特筆に値する。特例国債は耐用年数が長く、将来世代が便益を享受できる公共財の供給の財源として支出される建設国債と異なり、経常的経費の財源とされるため、将来世代にとっては公共財の便益が対応しないのに元利償還の負担のみが将来世代に残される。
租税および印紙収入は46兆1030億円で一般会計歳入総額の52.1%を占め、その他収入が9兆1510億円で10.3%を占めている。租税および印紙収入の構成は、所得税が15兆5720億円で17.6%、法人税が10兆5440億円で11.9%、消費税が10兆1300億円で11.4%であり、以上が主要三税である。その他、揮発油税2兆6280億円(3.0%)、相続税1兆5220億円(1.7%)、酒税1兆4200億円(1.6%)、関税8460億円(1.0%)、たばこ税8430億円(1.0%)、自動車重量税6460億円(0.7%)、印紙収入9850億円(1.1%)となっている。
歳出はその年度の財政活動のために支出する経費であり、主要経費別、目的別、使途別などに分類される。主要経費別は、その年度の諸施策にどのように経費が配分されたかをもっとも端的に示すものであり、目的別は、経費が国家のいかなる機能に配分されたかを示すもので、もっとも体系的な分類であり、使途別は、財政資金をどんな形態で国民経済に還流するかを示すものである。戦前の歳出でもっとも大きなウェイトを占めていたのは防衛関係費で、1934~1936年度平均ではこの費目だけで歳出総額のなかば近くの45.8%を占め、ついで大きな費目である国債費、恩給関係費とあわせると、3費目だけで70.2%に及んでいた。これに対して、戦後は、社会保障関係費、文教および科学振興費、地方財政関係費、公共事業関係費などの占める割合が高くなった。2009年度一般会計歳出予算に占める比率は、社会保障関係費24兆8343億円(28.0%)、公共事業関係費7兆0700億円(8.0%)、文教および科学振興費5兆3103億円(6.0%)、防衛費4兆7741億円(5.4%)、国債費20兆2437億円(22.9%)、地方交付税交付金16兆1112億円(18.2%)、などが主要経費の大きな支出項目となっている。国債費のうち利払い費はそのおよそ半分の約9兆4000億円であるが、元本の償還は借り換えで対応するとしてもせめて利子支払いだけは経常収入である租税などから毎年度支払う必要があるから、将来の予算のうち歳出のきわめて高い割合を利払いが占めることになる。
なお、地方公共団体の会計も、国の会計と同様に一般会計および特別会計に分かれている。しかし地方によって若干その内容が異なっているので、国の予算などと関連して地方財政を全国的にみる場合には、一般会計と特別会計から公営事業会計を除いたものを普通会計として一般行政の規模・内容を表している。
[林 正寿]
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一般会計 (いっぱんかいけい)
政府の一般的・基本的な活動に伴う歳出と,これを支弁するための一般財源を経理する会計をいう。政府が営む特定の事業などに伴う歳入・歳出の経理を行う特別会計に対する用語である。通常,〈予算〉という場合には,一般会計予算をさすことが多い。
予算制度の構成に関して,従来〈予算単一の原則〉が主張されてきた。これは,政府活動に対する議会や国民の監視を容易にするため,予算の全容が統一的に示されるべきであり,そのためには,政府のあらゆる歳入と歳出が単一の予算で処理されなければならないとするものである。この原則に従えば,本来,一般会計や特別会計などという区別は不必要なはずである。しかし現代の社会では,政府の行う活動範囲が拡大し,その内容も多様化し,複雑化してきている。こうした状況下ですべての収支を文字どおり単一の会計で処理しようとすれば,かえって使途の明確さが損なわれたり,あるいは行政効率の向上が阻害されるおそれがある。そこで,主要な歳入・歳出は中心的会計としての一般会計で処理し,事業等に伴う特定の歳入・歳出はおのおの特別会計で処理する,という区別がしだいに形成されてきた。日本の国家予算においても一般会計と特別会計の区別が存在し,また地方公共団体においても同様の区別がなされており,〈一般会計〉〈特別会計〉の語が用いられる。さらに企業性の強い公的事業については,効率性確保などの観点から,独立の法人格を有する政府関係機関を設立して,その運営を行う場合もある。
このように,政府の予算は,一般会計予算のほか,特別会計予算や政府関係機関予算なども含み,かつ,これらの間には歳入・歳出の重複が存在する。したがって,政府活動の規模を知るためには,これらの重複を控除した純計を計算する必要がある。日本の場合,国の予算については,一般会計と特別会計との純計が公表されているが,政府関係機関や地方財政まで含めた政府活動の規模をみるには,国民経済計算の計数によるのがよい。
一般会計の歳出を使途別分類でみると,(1)人件費,(2)旅費,(3)物件費,(4)施設費,(5)補助費・委託費,(6)他会計へ繰入れ,からなるが,近年では,このうち補助費・委託費が3割強,他会計への繰入れが5割弱を占める。このように,国の一般会計の特徴は,直接支出よりは補助や繰入れなどにより政府全般の財政活動をコントロールすることにあるといえる。
→財政 →予算
執筆者:野口 悠紀雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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「一般会計」の解説
一般会計
一般会計は原則として租税を財源にして、政府の一般的な収入と支出を経理する会計。特別会計は一般会計と区別して、別個に収入と支出を経理する会計。本来、財政民主主義に基づく予算原則では、統一性の原則によって、予算は1つでなければならないとされている。複数の予算が存在すると、財政操作を可能にするからである。ところが、日本の財政法では第13条で、「国の会計を分かって、一般会計及び特別会計とする」として、初めから統一性の原則を放棄している。ただし、特別会計の設置できる場合を、(1)特定の事業を実施する場合、(2)特定の資金を保有して運用する場合、(3)一般の歳入・歳出と区分して処理する必要のある場合、という3つに限っている。近年は、財政効率化の方針を受けて、特別会計も見直し、縮小が迫られている。行政改革推進法が平成18(2006)年6月2日に施行されたことを受け、同法に定められた内容を実行に移すために、「特別会計に関する法律」が平成19(07)年3月に成立した。これにより現行31ある特別会計を平成22(10)年までに17に廃止及び統合することとなった。
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
一般会計
いっぱんかいけい
general account
一会計年度(日本では 4月1日から翌年 3月末日まで)における国の一切の現金収入と現金支出(→歳入・歳出)の出納を一般的に経理する会計。ほかに,「特別会計に関する法律」に基づいて設置される特別会計がある。一般会計は国の会計の基幹であり,租税や公債など直接間接に国民の負担する財源で経費を主としてまかない,国民全体に不可欠の基本的な行政サービス,経済政策的見地からの補助金,社会政策的見地からの社会保障など,国民に反対給付を求めることのないような支出を行なっている。地方公共団体の予算も同様に一般会計と特別会計が設けられている。(→財政)
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の一般会計の言及
【特別会計】より
…国または地方公共団体の財政を経理する会計として,一般的な歳出・歳入を経理する[一般会計]以外に,特定の分野について一般会計と分離して財政運営を行うための会計。財政は本来,その収支状況が全体として把握されるためには単一の会計により運営されることが理想であるが,財政の関与する範囲が拡大し,内容が複雑多岐となっているところから,分野によっては独立した会計によって運営されるほうが,より効率的に運営され,より明確に財政状況が把握される場合がある。…
【普通会計】より
…地方公共団体の活動は,住民全体に共通なサービスを提供し一般税収を主財源とする一般行政活動と,民間財に近いサービスを提供し料金収入に大きく依存する企業的活動とに大別される。それは国における[一般会計]と[特別会計]の区分にほぼ対応している。しかし,両会計の対象範囲が全国一様でないため,地方財政全体の一般行政活動と企業的活動を把握する場合などには,普通会計と[公営事業会計]という統一的区分が使用されている。…
※「一般会計」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」