国家環境政策法(読み)こっかかんきょうせいさくほう

百科事典マイペディア 「国家環境政策法」の意味・わかりやすい解説

国家環境政策法【こっかかんきょうせいさくほう】

1969年に米国が制定し,1970年1月1日に発効した環境アセスメントに関する法律。その目的は,1.人間とその環境との間に豊かで快適な調和増進する国家的政策を宣言すること,2.人間環境と生物圏に対する損害防止し,または除去し,人間の健康と福祉を増進するための努力をすること,3.国民にとって大切な生熊系と天然資源に関する理解を深めること,の三つ。102条2項で,米国連邦政府のすべての機関に対し,人間環境の質に影響を与えるような連邦政府の行為については環境アセスメントを実施するよう要請した。国家環境政策法で規定している環境アセスメントの特徴は,対象行為が個別の事業計画にとどまらず,法案や包括的な計画なども含んでいること,提案された行為に対する合理的な代替案の分析がその核心をなしていることなどである。日本でも,四日市喘息水俣病など激甚な公害や自然破壊への反省から,開発による公害・自然破壊を未然に防止するため,環境庁は米国の国家環境政策法の定める環境アセスメントの手法を導入することを決め,1976年から環境アセスメントの法制化作業に取り組み始めた。
→関連項目四大公害訴訟

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「国家環境政策法」の意味・わかりやすい解説

国家環境政策法
こっかかんきょうせいさくほう
National Environmental Policy Act of 1969; NEPA

1970年1月1日アメリカ合衆国で発効した「1969年国家環境政策法」をいう。目的は,(1) 人間とその環境の間に,生産的で快適な調和を助長する国家政策を宣言すること,(2) 環境と生物圏に対する損害を防止または除去して,人間の健康と福祉の増進のための努力を促進すること,(3) 国にとって重要な生態系と天然資源への理解を深めること,とする。目的達成のため環境諮問委員会を政府に設置して,大統領に政策を提言する。また大規模開発を行う際,事前に連邦政府などの事業者が環境アセスメントを行なって,これを公表し,これに住民が意見を述べる機会が与えられるなど,開発に関する行政上の手続が定められている。

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世界大百科事典(旧版)内の国家環境政策法の言及

【環境アセスメント】より

…この制度は,まずアメリカで制度化された。
[諸外国]
 アメリカでは,1969年に〈国家環境政策法National Environmental Policy Act〉(NEPA)が制定され,人間環境の質に著しい影響を与える主要な連邦政府の活動につき,代替案の検討を含む環境影響評価書environmental impact statement(EIS)の作成と公表,それに対して住民が意見を提出するなどの住民参加手続を政府に義務づけ,これについての違反行為に対し住民からの差止訴訟を認めている。なおNEPAの対象となる政府活動は開発行為に限られず,私鉄運賃の認可,核施設輸出プログラム,補助金の交付等も該当する。…

※「国家環境政策法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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