医薬品、食品、その他の生活環境中に存在する多くの化学物質が人間にどのような影響を与えるかについて、科学的に試験・研究・調査等をする厚生労働省所管の中枢機関。日本最古の国立試験研究機関という歴史をもち、その起源は1874年(明治7)に官営の薬品試験所として発足した東京司薬場。1887年東京衛生試験所と改称され、医薬品だけではなく、食品、大気、水、温泉などの試験検査に活躍した。1949年(昭和24)に国立衛生試験所となり、当時の大阪衛生試験所は国立衛生試験所大阪支所となった。第二次世界大戦後、医薬品による副作用、食品による中毒、農薬中毒、化粧品による皮膚障害、産業廃棄物、環境汚染などに関する社会問題が続発し、試験検査による品質管理面だけではなく、とくに安全性に関する試験研究が強力に推進され、1978年には安全性生物試験研究センターが設置された。その後1996年(平成8)、エイズ問題などを契機に、薬事行政全般の見直しが行われ、これに伴い1997年現在の名称に改称され、医薬品の承認などに必要な審査を行う医薬品医療機器審査センターが新設された。また、医薬品原料である薬用植物の栽培と研究のため、北海道、筑波(つくば)、和歌山、種子島(たねがしま)に薬用植物栽培試験場をもっている。所在地は東京都世田谷区上用賀1-18-1。
[本田一二]
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