極地に関する科学の総合的研究を行い、かつ極地観測を実施するための中核機関として、1973年(昭和48)9月29日に設立された研究所。大学共同利用機関の一つであるが、2004年(平成16)4月から国立大学などの独立行政法人化の一環として、大学共同利用機関法人の「情報・システム研究機構」を構成する4研究所の一つとなった。日本は国際地球観測年(1957~1958)における南極の国際共同観測に参加し、1956年11月に第一次南極地域観測隊が東京港を出航して以来、1962年2月から1965年12月までの昭和基地の閉鎖期間を除き、観測と研究を積み重ねてきている。1961年日本学術会議は極地研究の中核となる研究所の設立を政府に勧告し、まず1962年国立科学博物館に極地学課が置かれた。これが極地研究部からさらに極地研究センターへと拡充され、これを母体として国立極地研究所が生まれた。
2004年の法人化に伴い、教員(研究者)の組織では従来の部門制が廃され、教員はすべて研究教育系の宙空圏、気水圏、地圏、生物圏、極域工学の5研究グループに分属するとともに、極域情報系の極域研究資源、極域情報基盤、南極隕石(いんせき)の各センター、および極域観測系の南極観測、北極観測の両センターにも所属して、研究・大学院教育・観測に取り組むこととなった。2006年には研究組織の変更が行われ、極域情報系は極域データセンターと極域科学資源センターに再編され、極域観測系の南極観測センターは南極観測推進センターになった。また、新たに国際的な事項を専門的に扱う国際企画室が設置された。所在地東京都板橋区加賀1-9-10。
[吉田栄夫]
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