日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
国立障害者リハビリテーションセンター
こくりつしょうがいしゃりはびりてーしょんせんたー
障害者を対象にした、総合的なリハビリテーション提供・研究機関。1979年(昭和54)、身体、視力、聴力の3センターを統合した「国立身体障害者リハビリテーションセンター」として発足、2008年(平成20)に「身体」を外して現在の名称に変更した。厚生労働省の管轄で、総長のもと、管理部、病院、更生訓練所、研究所、学院により構成されている。障害者の総合医療機関である病院は精神科、発達障害科を含む16診療科がある。医師、看護師に、理学療法士、作業療法士、運動療法士、言語聴覚士、視能訓練士、義肢装具士などの専門職が加わり、診断、治療および回復期のリハビリテーションを行っている。リハビリテーション体育はスポーツや体操を通して体力や運動能力の改善を図り、活動能力を高める。
また、更生訓練所は障害者の医学、心理的、社会的評価や職能判定をし、障害に応じて自立や社会参加が可能になるように指導、支援をする。総合相談支援部、自立訓練部、理療教育・就労支援部がある。自立訓練部では歩行や身の回りのことができる基本的な生活訓練や補助具を用いての自動車運転指導などをする。就労相談室では訓練生の就職の斡旋(あっせん)も行っている。研究所ではリハビリテーション技術や福祉機器、装具の開発に取り組んでいる。また、義肢や装具の政策や修理もしている。学院には5学科があり、言語聴覚士、義肢装具士、視覚障害生活訓練専門職員、手話通訳士、リハビリテーション体育専門職員を養成している。また医師、看護師など障害者に関連する職員の研修も行う。センターはWHO(世界保健機関)の指定機関として、海外への専門家派遣や研修員の受け入れを行っている。所在地は埼玉県所沢市並木4-1。
[田辺 功]