改訂新版 世界大百科事典 「地域計画」の意味・わかりやすい解説
地域計画 (ちいきけいかく)
regional planning
地域の開発,利用,保全などのための計画。対象とする地域の広狭により,国土計画,地方計画,広域都市計画,都市計画などの名称でよばれるが,これらのうち地方計画(地方ブロックないし県ぐらいの大きさの地域の計画)と同義に地域計画という言葉を用いることも多い。
地域計画は,地域社会の生産,環境などの基盤をなす公共・公益施設を整備し,合理的な土地利用を誘導し,またそのために必要な規制を図るなど,人間活動の物的面の環境条件の創出,改善をその中心的な課題とする。したがって,法律,条令などに基づき,国や地方公共団体などが,計画の作成,実施の主体となることが多い。地域計画は,国や地方公共団体が,計画対象地域と計画期間を決め,対象事業とその実施の順序などを明らかにし,さらに環境アセスメントや開発・整備の効果を見とおし,必要な資金とその調達方法などを明らかにして作成される。この間,審議会や委員会を設けて,広く住民各層の意見を聞き,また計画を公示して異議を徴するなどのことも行われるのが一般である。計画期間は一般に5~10年ぐらいの長期のものが多い。計画内容は,交通,住宅,基礎産業,エネルギー需給,防災などの諸施設に広く及ぶが,これらの施設の地域社会における総合性を確保することが大きなねらいである。また,国や地方の経済・福祉などの諸計画との整合性も重視される。
執筆者:高崎 正義
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報