ちじきいじょう
地磁気異常
geomagnetic anomaly
地球磁場の空間的分布のなかで,周囲の平均的地球磁場からの差をいう。磁気異常とも。平均的地球磁場は国際的に決められた国際標準地球磁場(International Geomagnetic Reference Field:IGRF, DGRF, PGRF)が一般的に使われる。IGRFやDGRFは,球面調和関数で表現されていて,次数はn=m=10までである。この波長に対応する原因の深さは外核の内側であることから,IGRFやDGRFは核内でつくられた磁場といえる。この磁場を,観測された磁場の値から差し引くと,マントルと地殻で発生した磁場が残る。ところが,マントルは地表地球磁場への寄与がほとんどないことがわかっているので,差し引いて残った磁場のほとんどは地殻で発生した磁場といえる。つまり地磁気異常は地殻がつくる磁場といえる。地殻はマントルと比べてその組成は非常に不均質であり,その結果,短い波長の地質構造に対応する地磁気異常が観測される。地磁気異常は鉱物資源を探査する際に利用する場合がある。正負の地磁気異常間の距離や振幅比は,磁気モーメントの伏角や偏角,それにその場所の地球磁場の伏角と偏角(IGRFで代表されるもの)に依存する。
執筆者:伊勢崎 修弘
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
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地磁気異常
ちじきいじょう
magnetic anomaly
地磁気の実測値と地球全体の磁場を表現するモデルによる予測値との差をいう。地球の磁場は、大勢としては双極子磁場と14次程度までの非双極子磁場を加え合わせたモデルでよく表現される。しかし、このモデルに含まれる磁場はもっとも短いものでも波長が約3000キロメートルもあり、それより短い波長の変化は含まれていない。たとえば火山はその山体(大きさが直径100キロメートル以下)の磁化によって周囲に磁場をつくるが、この磁場の波長は100キロメートル以下であるため全球のモデルでは表現されていない。実測で得られた磁場強度から、地球磁場のモデルによって推定された値を引いたものを地磁気異常または磁気異常という。磁気異常の分布を解析すると、その異常の原因となっている岩体の形状、深度、磁化強度などを求めることができる。海上ではしばしば縞(しま)状の磁気異常が観測されるが、これは、海底地殻が海嶺(かいれい)で生まれたときの地球磁場の正逆の磁性に対応しているためであり、バインFrederick J. Vine(1939―1988)とマシューズDrummond H. Matthews(1931―1997)によって明らかにされた。これにより地磁気異常を用いて海底地殻の年齢を推定する方法が確立し、プレートテクトニクスの成立につながった。
[河野 長]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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地磁気異常
ちじきいじょう
magnetic anomaly
地磁気の地表における分布の大略は地球中心におかれた磁気双極子のつくる双極子磁場によって表わされる。しかし地磁気の分布をもっと詳しく調べてみると,双極子磁場以外に不規則な磁場が重なっていることがわかる。このような不規則な磁場を地磁気異常という。地下の岩石が磁性の強い岩石でできている場合,その周辺には地磁気異常が現れる。また中央海嶺周辺にみられる縞状の地磁気異常は海底玄武岩が,地磁気の逆転に応じて正逆の帯磁をしているために生じるものである。磁気異常は,地球内部の地球物理学的な検討や,地質学と結びつけて地下資源の探査や地殻の運動などの解明に利用されている。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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