地金(金属材料)(読み)じがね

日本大百科全書(ニッポニカ) 「地金(金属材料)」の意味・わかりやすい解説

地金(金属材料)
じがね

原材料としての金属総称。すなわち、その純度、成分のみに着目した金属材料の呼び名であるから、形状のいかんを問わないが、多くの場合鋳塊(インゴット)として利用に供される。したがって純金属、合金のすべてを含み、一次地金(製錬出地金)、二次地金(回収再生地金)の別や、不純物の含有量、純度などにより区別される。原材料としての使用上の便宜から、地金には成分規格が定められるのが普通である。日本工業規格(JIS(ジス))にも多くの地金規格が定められている。そして地金生産技術の進歩や用途の変化からの要請に従って、一定期間ごとに改訂される。

 以下にアルミニウム地金のJIS規格を示す。


●アルミニウム地金の化学成分(%)
〔特1種 空色
  分析元素 Si < 0.05
       Fe < 0.07
       Cu < 0.01
  管理元素
   Ti, Mn 各々 < 0.01
  合計     < 0.10
  Al      >99.90
〔特2種 緑〕
  分析元素 Si < 0.08
       Fe < 0.12
       Cu < 0.01
  管理元素
   Ti, Mn 各々 < 0.01
  合計     < 0.15
  Al      > 99.85
〔1種 黒〕
  分析元素 Si < 0.15
       Fe < 0.20
       Cu < 0.02
  管理元素
   Ti, Mn 各々 < 0.02
  合計     < 0.30
  Al      >99.70
〔2種 白〕
  分析元素 Si < 0.25
       Fe < 0.40
       Cu < 0.02
  管理元素
   Ti, Mn 各々 < 0.02
  合計     < 0.50
  Al      > 99.50
〔3種 赤〕
  分析元素 Si < 0.50
       Fe < 0.80
       Cu < 0.02
  管理元素
   Ti, Mn 各々 < 0.02
  合計     < 1.00
  Al      >99.00
(注:JIS H 2102による)

もっとも純度のよい特1種は、需要側の要求から新たに追加されたもので、主要不純物であるシリコン、鉄、銅は一溶解ごとにJIS分析法に従って分析し、管理元素については一定期間ごとに分析して表示することになっている。回収再生したアルミニウム二次地金についても同様に1種から6種まで、それぞれの成分について規定されている。

 ダイカスト用亜鉛合金塊のJIS規格では合金成分としてアルミニウム、マグネシウムのほか1種には銅を含む。合金の場合は原料地金や製造方法についても規定される。含有量の上限が定められている成分は製品の性能に影響する不純物元素で、その影響を抑制するため少量のマグネシウムを添加する。

[阿座上竹四]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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