坐骨神経(読み)ざこつしんけい

精選版 日本国語大辞典 「坐骨神経」の意味・読み・例文・類語

ざこつ‐しんけい【坐骨神経】

  1. 〘 名詞 〙 下肢運動および知覚をつかさどる神経人体の神経中最も太くて長い。骨盤の中の坐骨神経叢に始まって大腿後面を走り、膝がしらのやや上方で総腓骨神経と脛骨神経とに分かれる。外傷圧迫、寒冷などにおかされやすい。〔解剖辞書(1875)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「坐骨神経」の意味・わかりやすい解説

坐骨神経
ざこつしんけい

骨盤の後壁から出る仙骨神経叢(そう)のうちの1本が坐骨神経であり、人体中ではもっとも太くて長い神経である。坐骨神経は第4、第5腰神経と第1、第2、第3仙骨神経から構成されている。仙骨神経叢から分かれた坐骨神経は、大坐骨孔を通過して梨状(りじょう)筋の下側(梨状筋下口)から骨盤腔(くう)を抜けて大腿(だいたい)の後面に出て下行する。下行しながら大腿後側の筋肉、下腿と足の筋肉に運動神経を出すほか、下腿の皮膚には感覚神経を出している。また、下肢のすべての関節にも神経枝が行っている。坐骨神経は骨盤の損傷や股(こ)関節の障害などによって損傷されることが多い。また、臀部(でんぶ)に不注意に注射をすると、坐骨神経の損傷、麻痺(まひ)などをおこすこともある。腰椎(ようつい)下部椎間板ヘルニア、骨の疾患腫瘍(しゅよう)などで坐骨神経の圧迫や傷害を受けると坐骨神経痛の原因ともなる。

[嶋井和世]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「坐骨神経」の意味・わかりやすい解説

坐骨神経
ざこつしんけい
sciatic nerve

第4,5腰神経および第1,2,3仙骨神経から成る,人体で最大,最長末梢神経。本幹は,梨状筋の下から大坐骨孔を出て,さらに骨盤を出たあと,坐骨結節と大転子の間を大殿筋におおわれて下がり,膝窩にいたる。ここで脛骨神経と総腓骨神経の2枝に分れる。坐骨神経が完全に麻痺すると,膝関節が屈曲不能となり,膝関節以下の筋肉はすべて麻痺する。原因としては,骨盤や大腿骨の骨折,殿部や大腿の損傷,殿筋内注射,骨盤腫瘍,糖尿病,結節性動脈周囲炎などがあげられる。

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