デジタル大辞泉 「垂」の意味・読み・例文・類語 すい【垂】[漢字項目] [音]スイ(漢) [訓]たれる たらす しだれる しずる なんなんとする[学習漢字]6年1 下の方にたれ下がる。たらす。「垂涎すいぜん・垂直/懸垂・胃下垂」2 上位者が下位者に教えを示す。「垂訓・垂示・垂範」3 今にも…しそうだ。「垂死」4 国の果て。「四垂・辺垂」[名のり]しげる・たり・たる・たれ[難読]垂しだり尾・垂乳根たらちね・垂木たるき・直垂ひたたれ 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
精選版 日本国語大辞典 「垂」の意味・読み・例文・類語 たれ【垂】 [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 動詞「たれる(垂)」の連用形の名詞化 )① たれること。また、たれているもの。② 束帯の平緒(ひらお)につけてたれるもの。③ 垂駕籠(たれかご)のむしろ戸。駕籠にのった客の姿をかくすように、むしろなどをたらして作った戸。[初出の実例]「旦那申。跡の立場と代へます銭やって下はんせと、願へば垂(タレ)の内よりも」(出典:浄瑠璃・夏祭浪花鑑(1745)三)④ 鎧(よろい)や剣道などの防具で、腰のまわりを保護するもの。[初出の実例]「その時、栄次郎は斎藤の前に胴とタレを持ち出して『どうぞこれをおつけ下さい』といった」(出典:武州このごろ記(1935)〈北条清一〉一千字訪問)⑤ 「たれみそ(垂味噌)」の略。⑥ 煮焼きに用いる調味汁のこと。蒲焼(かばやき)・焼き鳥・てり焼きなどに使う。[初出の実例]「『軍鶏と葱を買って来た』『そいつぁ妙だ、併したれがなくっちゃあいかねえが』」(出典:歌舞伎・三人吉三廓初買(1860)六幕)⑦ 衣服や帯などのたれ下がった部分。特に和服で、女帯を太鼓結びにする際に、太鼓を作る方の端の部分をいう。→掛(かけ)。[初出の実例]「前をはだけふんどしのたれを広げて見せ」(出典:滑稽本・七偏人(1857‐63)四)「後手(うしろで)に帯のたれのあたりを撫でてみながら」(出典:大道無門(1926)〈里見弴〉白緑紅)⑧ 暖簾(のれん)。また、戸の代わりにたれさがっている布など。[初出の実例]「垢たれた更紗の垂布(タレ)を下げた、どす暗い料理場で」(出典:小鳥の巣(1910)〈鈴木三重吉〉上)⑨ 排泄(はいせつ)すること。「くそたれ」「鼻たれ」など他の語に付いて、人をののしるのに用いる。⑩ 能の面の上から肩の辺までたらす髢(かもじ)。冠、烏帽子をつけた男神、女神、武将などに用いる黒垂れと、老人に用いる白垂れとがあり、前者は「養老(ようろう)」「葛城(かずらき)」「八島(やしま)」などに、後者は「実盛(さねもり)」「西行桜」などに用いる。⑪ 剃刀(かみそり)をいう女房詞。毛垂(けたれ)。⑫ 人形浄瑠璃社会の隠語。(イ) 女の頭。(ロ) 女。[初出の実例]「茶碗で清左をもぢりちらし、無上にたれをかきさがしまわした跡でのはりこみ悪たい」(出典:談義本・根無草(1763‐69)前)(ハ) 女陰。⑬ 漢字の字形の構成部分の一つ。「雁」「病」「麻」などの「厂(がんだれ)」「疒(やまいだれ)」「广(まだれ)」をいう。[ 2 ] 〘 接尾語 〙 その性質や状態をはっきり表わす人をののしって言うのに用いる。「しみたれ」「なまたれ」「ばかたれ」「貧乏たれ」「がしんたれ」など。 たらし【垂】 〘 名詞 〙 ( 動詞「たらす(垂)」の連用形の名詞化 )① たらしたもの。帯(おび)。[初出の実例]「名に帯の字を多羅斯(タラシ)と謂ふ」(出典:古事記(712)序)② 航海中の船が荒天にあったとき、船の安全を保ち、流されるのを防ぐため、船尾もしくは船首からひかせる碇(いかり)、または碇綱(いかりづな)をいう船方言葉。[初出の実例]「おのおの仏神に祈誓をこらし、大綱をたらしに引せ、六日の晩方まで東北の方え流れ申候」(出典:安南国漂流物語(1767頃))③ したたり落とすこと。また、そのもの。したたり。たれ。[初出の実例]「老てたらしになりぬへき袖 小便にたたんとするも大義にて」(出典:俳諧・伊勢山田俳諧集(1650)寄合) しずりしづり【垂】 〘 名詞 〙 ( 動詞「しずる(垂)」の連用形の名詞化 ) しずること。木の枝などに積もった雪が落ちること。また、その雪。しずれ。[初出の実例]「おくやまのしづりのしたの袖なれやおもひのほかにぬれぬと思へば」(出典:綺語抄(1107‐16)上)「降り続く雪のしづりを掻き集めて」(出典:大観本謡曲・氷室(1532頃)) し‐だり【垂】 〘 名詞 〙 ( 四段動詞「しだる(垂)」の連用形の名詞化 ) たれ下がること。枝の、下にたれたもの。しだれ。[初出の実例]「羅綺にも堪へぬ柳腰の 枝垂(シダリ)は同じ花の縁」(出典:天地有情(1899)〈土井晩翠〉哀歌) しずれしづれ【垂】 〘 名詞 〙 ( 動詞「しずれる(垂)」の連用形の名詞化 ) =しずり(垂)[初出の実例]「雪を重みしだれるみさの枝なればさはる小笠にしづれ落つ也」(出典:散木奇歌集(1128頃)冬) し‐だれ【垂】 〘 名詞 〙 ( 動詞「しだれる(垂)」の連用形の名詞化 ) たれ下がること。しだり。[初出の実例]「よこた川植処なき柳かな〈尚白〉 青柳のしだれや鯉の住所〈一啖〉」(出典:俳諧・猿蓑(1691)四) たる【垂】 〘 名詞 〙 ( 「たるみ(垂水)」の略。「だる」とも ) 滝(たき)をいう。〔和訓栞(1777‐1862)〕 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例 Sponserd by
普及版 字通 「垂」の読み・字形・画数・意味 垂常用漢字 8画 [字音] スイ[字訓] たれる・ほとり・なんなんとす[説文解字] [字形] 会意(すい)+土。は〔説文〕六下に「艸木の(た)る。象形」とあり、その垂れて土に達するを垂という。〔説文〕十三下に「邊なり」とするが、その字には陲を用いる。垂下の意より垂示・垂教、また、まさに達せんとする状態を垂老・垂死のようにいう。[訓義]1. たれる、たれさがる、地につく。2. 陲と通じ、ほとり、辺境。3. なんなんとす、その状態に近い。[古辞書の訓]〔名義抄〕垂 タル・ホトリ・セムトス・トス・イマニ・イタル・イマシ・スミ・クダル・サカヒ・イマ・クマ・ノゾム・ホトホト・オヨブ[声系]〔説文〕土部に垂を声の字とし、また垂声として睡・・捶・・錘・陲など十三字を収める。睡・錘は下垂、・捶は杖撃の意がある。[語系]垂・陲zjiuaiは同声。〔説文〕十四下に「陲はきなり」とするも、多く辺陲の義に用いる。墮(・隋)duai、(・地)diet、duiはみな下垂の意があり、声義の近い語である。[熟語]垂阿▶・垂哀▶・垂意▶・垂頤▶・垂雲▶・垂穎▶・垂纓▶・垂恩▶・垂誡▶・垂戒▶・垂竿▶・垂危▶・垂及▶・垂救▶・垂泣▶・垂拱▶・垂矜▶・垂教▶・垂業▶・垂訓▶・垂髻▶・垂眷▶・垂憲▶・垂胡▶・垂顧▶・垂語▶・垂光▶・垂鉤▶・垂▶・垂察▶・垂死▶・垂糸▶・垂珥▶・垂手▶・垂▶・垂準▶・垂詢▶・垂象▶・垂条▶・垂紳▶・垂仁▶・垂垂▶・垂世▶・垂成▶・垂▶・垂則▶・垂殆▶・垂聴▶・垂釣▶・垂髫▶・垂直▶・垂涕▶・垂天▶・垂典▶・垂統▶・垂頭▶・垂年▶・垂念▶・垂白▶・垂箔▶・垂髪▶・垂範▶・垂冰▶・垂暮▶・垂法▶・垂没▶・垂名▶・垂命▶・垂問▶・垂腴▶・垂諭▶・垂楊▶・垂柳▶・垂▶・垂慮▶・垂諒▶・垂綸▶・垂涙▶・垂▶・垂▶・垂露▶・垂老▶[下接語]帷垂・下垂・懸垂・光垂・荒垂・三垂・条垂・紳垂・星垂・帯垂・直垂・低垂・天垂・倒垂・徳垂・佩垂・辺垂 出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報 Sponserd by
改訂新版 世界大百科事典 「垂」の意味・わかりやすい解説 垂 (たれ) 能の仮髪(鬘(かつら))の一種。顔の左右から背後へかけて,肩下の辺まで放し垂れる仮髪。頭(かしら)よりは毛髪が少なく短く,髪すそが揃っている。黒垂(くろたれ)と白垂(しろたれ)の2種があり,黒垂は《高砂》《田村》などの後ジテ,白垂は《実盛》の後ジテ,《西行桜》などに用いる。執筆者:羽田 昶 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報 Sponserd by
栄養・生化学辞典 「垂」の解説 垂 口蓋垂は,口を開けたときに喉の入り口に上から下がってみえる組織.膀胱垂 (uvula of bladder) は尿道口の後方の隆起. 出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報 Sponserd by