執行証書(読み)しっこうしょうしょ

改訂新版 世界大百科事典 「執行証書」の意味・わかりやすい解説

執行証書 (しっこうしょうしょ)

強制執行の基本となる債務名義一種公証人が作成した公正証書一定要件の下に執行力が認められているもの(民事執行法22条5号)。他の債務名義は,その成立についてなんらかの裁判上の手続が必要であって強制執行できるまでがめんどうであるのに対して,執行証書公証人の作成のみによって成立する簡易な債務名義であるため,金銭の消費貸借契約等において多く利用されている。他面,記載内容の実質的正当性が審査されていないために,執行の段階で紛争が生じることが多い。

 執行証書としての効力を認められるための要件は,三つある。第1は,公証人がその権限内において作成したことである。第2は,表示された請求権が,一定額の金銭支払または代替物などの一定数量給付を目的としていることである。したがって,特定物の引渡請求権などは,この要件によって排除される。金額の一定性については,割賦販売契約あるいは当座貸越契約などについて紛争が生じることが多い。第3は,債務者が,ただちに強制執行を受けることを承諾する文言執行受諾文言)を記載してあることである。
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百科事典マイペディア 「執行証書」の意味・わかりやすい解説

執行証書【しっこうしょうしょ】

公証人が作成した公正証書で,金銭や代替物などの給付の請求について履行期経過後は債務者が直ちに強制執行を受けても異議のない旨(執行受諾文言)を記載したもの。債務名義となる(民事執行法22条)。
→関連項目執行文

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「執行証書」の意味・わかりやすい解説

執行証書
しっこうしょうしょ
vollstreckbare Urkunde

公証人がその権限に基づいて成規方式によって作った証書であって,金銭の一定額の支払い,またはその他の代替物もしくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求について債務者が,ただちに強制執行に服する旨の陳述が記載されているもの (民事執行法 22) 。判決などとともに債務名義として取扱われる。

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