応力が弾性限界を超えると物体は永久変形を生じ,外力を除いても変形はもはやもとに戻らない.このような性質を塑性といい,その変形様式を塑性変形という.金属の変形における延性,展性などは塑性変形である.ガラスや粘土のような流動物変形を塑性流動という.塑性変形の流動性に着目してみると,応力-ひずみ速度関係は原点を通らず,一種の非ニュートン流動である.水で練った粘土,セッコウ,小麦粉をはじめ,ピッチ,鉛などでは比較的弱い外力によって塑性変形を起こす.[別用語参照]弾性変形
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…物体に塑性変形を与えると,変形の度合が増すにつれて変形に対する抵抗が増大し,変形を受けていない材料よりも硬くなる。これを加工硬化,もしくはひずみ硬化という。…
…外力がある値をこえるとすべりの形態の変形が起こり,変形はもとに戻らない。このような変形は塑性変形と呼ばれ,塑性変形の起こる外力の大きさが硬さの定量的な程度を表す。このような固体の力学的性質は,上に述べたように固体の結合力と関連しているが,塑性変形の領域では転位の存在も大きな影響力をもっている。…
…力が小さいときは,力を0に戻すと変形も元に戻る(このような変形を弾性変形という)が,力が大きくなると,力を0に戻しても変形は元に戻らないで永久的な変形が残る。後者の変形を塑性変形と呼び,固体のこのような性質を塑性と呼ぶ。力を0に戻しても永久的な変形が残るのは,力を大きく加えたときに,原子どうしのつながり方のつなぎ替えが起きて,新しい安定な原子配置に変わったことによる。…
…材料が圧延の場合にはロールの間で,鍛造の場合には型の中で,引抜加工や押出加工の場合にはダイスやコンテナーの中で,プレスの場合にはダイスやポンチの間で,どのような力の作用のもとでどのように変形するかという研究が,20世紀に入ってから非常に進歩した。弾性変形の学問はフックの法則として知られているように,その基本はすでに19世紀の間に確立していたのであるが,塑性変形の学問は現在でもまだ基本が確立していない。しかし,現実には塑性加工が行われており,そこにおける力と変形とを定量的に認識し制御していかなければならない。…
※「塑性変形」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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