塚崎古墳群(読み)つかざきこふんぐん

日本歴史地名大系 「塚崎古墳群」の解説

塚崎古墳群
つかざきこふんぐん

[現在地名]高山町野崎 塚崎

肝属川の南側、標高約二〇メートルの舌状台地上にある鹿児島最南端の古墳群。国指定史跡前方後円墳四基、円墳三九基、地下式横穴墓十数基が確認されており、古墳時代中―後期築造と考えられる。平成四年(一九九二)から同七年にかけて前方後円墳を中心に墳丘測量調査が行われた。最大の四〇号前方後円墳(花牟礼古墳)は長さ六六・五メートル、高さ九メートルを測り、墳丘には葺石が認められる。他の前方後円墳の長さは、一〇号墳が三九・五メートル、一一号墳が五六メートル、一六号墳が四四・五メートルである。前方後円墳は後円部と比べて前方部が極端に低くて狭く、長いという特徴を有している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「塚崎古墳群」の解説

つかさきこふんぐん【塚崎古墳群】


鹿児島県肝属(きもつき)郡肝付(きもつき)町野崎にある古墳群。国見山脈の北麓、肝属川右岸の標高20~30mのシラス台地、塚崎台地上に所在する、前方後円墳5基、円墳39基を含む古墳群。地下式横穴墓も10基余り確認されており、竪穴(たてあな)の下方から横方向に埋葬空間である横穴(玄室)を掘るこの形態は、大隅地域で5世紀ごろに盛んに造られたもので、古墳群全体も4世紀から5世紀にかけて築造されたと考えられる。1945年(昭和20)に国の史跡に指定されたが、前方後円墳の発掘調査はまだ行われておらず、不明なことが多いものの、日本最南端の前方後円墳がある古墳群である。39号の前方後円墳(花牟礼古墳)は全長が約66m、高さが約10mで、小丘の突端を整形して築いた古式の姿を示し、墳丘上に葺石(ふきいし)もあり、古墳群で最大のもの。25号墳からは埋葬祭祀に使われたと推定できる小型丸底壺と器台の土器が、18号墳からは壺形埴輪(はにわ)が、31号墳からは近畿地方などから入手したと思われる須恵器(すえき)の甕(かめ)と土師器(はじき)の高坏(たかつき)が出土した。1号墳の墳丘には、樹齢約1300年とされる天然記念物「塚崎のクス」が根をおろしている。肝属平野周辺には唐仁(とうじん)古墳群をはじめ、前方後円墳や古墳群が数多く分布し、当時の権力者が存在した重要な地域であったと考えられる。JR日南線志布志駅から車で約39分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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