塩瀬(読み)シオゼ

デジタル大辞泉 「塩瀬」の意味・読み・例文・類語

しお‐ぜ〔しほ‐〕【塩瀬】

縦糸を密にし、太い横糸を用いて横筋を出した厚地羽二重帯地袱紗ふくさ半襟羽織地などに使用。塩瀬羽二重。

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精選版 日本国語大辞典 「塩瀬」の意味・読み・例文・類語

しおぜしほぜ【塩瀬】

  1. [ 1 ] 近世、京都三条烏丸(からすま)東入にあった袱紗(ふくさ)屋。また、その店で製した袱紗。
    1. [初出の実例]「あるじ奥より甫竹がためたる一節に、塩瀬(シホセ)が不洗(ふくさ)を取添。もしかやうの物ても御座らぬか」(出典:浮世草子・好色二代男(1684)一)
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 羽二重(はぶたえ)風の厚地の織物。細い生糸を密に配列して経(たていと)とし、太い生糸を緯(よこいと)として、平織にしたもので、多く横畝(うね)がある。織りあげた後、精練・染色などの加工をするため、博多織と異なり、しなやかである。帯地・袱紗・羽織地などに用いられる。塩瀬羽二重、紋塩瀬などがある。
    1. [初出の実例]「襦袢は緋の紋壁にしほぜの白半襟(しろえり)」(出典:油地獄(1891)〈斎藤緑雨〉二)

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改訂新版 世界大百科事典 「塩瀬」の意味・わかりやすい解説

塩瀬 (しおぜ)

絹織物一種で厚地の羽二重風生織物。塩瀬羽二重ともいう。経糸は生糸を細密にし,太い緯(ぬき)糸を湿して用い,しっかりと織り込んだもの。織り上げた後,精練,染色をほどこして使う。緯畝(よこうね)の目だつ高級織物で,薄地のものは男子羽織地,厚地のものは女帯地,半襟,ふくさ,旗地などに用いる。新潟県五泉地方で多くつくられる。別に塩瀬御召(おめし)と呼ばれる織物は,先染で琥珀織に似た緯畝をもち,シボがあまり目だたずやわらかい。男子羽織地に向く。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「塩瀬」の意味・わかりやすい解説

塩瀬
しおぜ

経緯(たてよこ)ともに生糸を使用した重(おも)めの羽二重(はぶたえ)。塩瀬羽二重ともいう。またレーヨン糸などを使い、密度が比較的緻密(ちみつ)な平織物についても、塩瀬ということがある。組織は経密度を緻密にし、太い緯糸を打ち込んだもので、琥珀織(こはくおり)のように横畝(うね)があるのが普通であるが、現在の製品はあまり横畝がはっきりしない。白地のほか、無地染め、捺染(なっせん)され縞(しま)のものも多い。婦人・子供服地や肌着のほか、小幅のものは染帯地や袱紗(ふくさ)などに用いられる。

[角山幸洋]

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百科事典マイペディア 「塩瀬」の意味・わかりやすい解説

塩瀬【しおぜ】

生糸による絹織物の一種。経(たて)糸を密にし,太い緯(よこ)糸を用いて平織にしたもので,布面に横畝(よこうね)が現れる。畝の低いものを塩瀬羽二重という。近年は化繊,合繊でも織られる。柔軟で弾力性があるので帯,半衿(はんえり),袱紗(ふくさ),旗などに用いる。
→関連項目畝織絹織物

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「塩瀬」の意味・わかりやすい解説

塩瀬
しおぜ

塩瀬羽二重の略。経・緯糸とも生糸を使用した厚地の羽二重 (はぶたえ) で,経糸を密に緯糸に太糸を用いた絹の生織物の一種。組織は平織で,経糸と緯糸の浮かし方で模様を織り出したものを,特に紋塩瀬という。最近では絹のほかレーヨンなどの人造繊維でも類似の布地が織られている。用途は女帯,半襟,羽織,袱紗,洋服地,裏地など。

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世界大百科事典(旧版)内の塩瀬の言及

【まんじゅう(饅頭)】より

… 日本のまんじゅうは中国から帰化した林浄因(りんじよういん)に始まる。浄因は宋の高名な文人林和靖の子孫で,1349年に中国留学から帰朝した禅僧竜山徳見(りゆうざんとくけん)に伴われて来日,塩瀬姓を名のって奈良に住み,まんじゅうを製して業とした。その子孫には《饅頭屋本節用集》の刊行者とされる饅頭屋宗二(そうじ)(1498‐1581)がいる。…

【饅頭屋宗二】より

…戦国~安土桃山時代の商人,学者。姓は塩瀬,名は安盛,字は桂室,林逸・方生斎と号した。父は道太。…

※「塩瀬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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