元来,柔らかな手触りのよいことを指し,《日葡辞書》では〈袱紗物〉〈袱紗絹〉などとともに〈袱紗な人〉(物柔らかで人あたりのよい人)の用例もみえる。一般には茶の湯に用いる方形の縮緬や絹布をいい,表裏2枚合せたものや1枚物がある。服紗,覆紗,帛紗などと書かれ,それぞれの使途によって使い分けられている。服紗小袖,袱紗帯のごとく柔らかな絹布で作ったもの,風呂敷または掛袱紗のように進物や貴重品を包んだり覆う用途のもの,あるいは袱紗料理のごとく本膳でない略式のものを指すこともある。茶の湯では,古帛紗(小帛紗とも書く),使い(持ち)帛紗,出し帛紗などと称される。古帛紗(15.7cm×15cm)は,主として濃茶か荘(かざ)りものなどの点前で茶器に添える厚地のもので,本来は唐織,緞子(どんす),間道などの名物裂(めいぶつぎれ)である。使い帛紗(28.4cm×27cm)は,茶器を拭くために使い,生地は主に塩瀬で,三方を縫い一方は〈わさ〉にしてあり,伝物(でんもの)(上級点前)には斜子織(ななこおり)を用いた。男子は紫,女子は赤,老人は黄を基本とし,染柄も趣向で用いられる。なお茶器を拭き清めるために帛紗を折りたたむ所作を帛紗さばきという。出し帛紗は古帛紗の裂地で,使い帛紗と同じ大きさで,古帛紗と同じ用い方をする。
執筆者:戸田 勝久
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元来は錦(にしき)、唐織(からおり)のようなこわい裂地(きれじ)に対して、絹、縮緬(ちりめん)のような柔らかい裂地のことをさす。帛紗、服紗、覆紗などとも書く。祝儀の際に重箱の上や、進物の上にかけるのを掛け袱紗という。あるいは祝儀や不祝儀のおりに金包みを包んだり、財布などの懐中物を包んだりするのを包み袱紗というが、これは比較的小ぶりにつくられている。また江戸時代、服装の世界で袱紗は略式のものとされ、縮緬でつくった着物を袱紗小袖(こそで)といった。
[遠藤 武]
茶道で使用する袱紗は、茶器をぬぐい清めたり、拝見のときなどに茶器の下に敷いたりする。布地は塩瀬(しおぜ)を最上とし、羽二重(はぶたえ)、斜子(ななこ)、名物裂(めいぶつぎれ)なども使う。色は紫、緋(ひ)、黄、唐茶(からちゃ)などがあり、通常紫色は男子用、緋色は女子用とされる。現在使用されている30センチメートル角の基本形ができあがったのは千利休(せんのりきゅう)の時代のことであり、妻宗恩(そうおん)の創意になると伝えている。茶の湯において袱紗が使用された最初は、南浦紹明(なんぽじょうみょう)が後伏見(ごふしみ)上皇へ茶を献じたときであるという(近松茂矩(ちかまつしげのり)『茶湯古事談(ちゃのゆこじだん)』)。種類には茶袱紗、使い袱紗、出し袱紗、小(こ)袱紗などがあるが、流儀によってその使われ方は異なる。
[筒井紘一]
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