好塩菌(読み)こうえんきん(英語表記)halophilic bacteria

精選版 日本国語大辞典 「好塩菌」の意味・読み・例文・類語

こうえん‐きん カウエン‥【好塩菌】

〘名〙 ある濃度以上の食塩がある所でだけ発育繁殖する細菌。一般には二~五パーセントを至適濃度とする。食中毒原因となるものもある。好塩細菌

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デジタル大辞泉 「好塩菌」の意味・読み・例文・類語

こうえん‐きん〔カウエン‐〕【好塩菌】

ある濃度以上の食塩が存在する所でだけ発育・増殖する細菌。食中毒の原因となるものもある。好塩細菌。

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改訂新版 世界大百科事典 「好塩菌」の意味・わかりやすい解説

好塩菌 (こうえんきん)
halophilic bacteria

食塩を含む培地に増殖し,普通の培地にはほとんど増殖しない一群の細菌をいう。好塩菌は通常は5~10%の食塩濃度の培地が発育に好適な条件となるが,好塩菌のなかには,12~15%の食塩存在下においてのみ生育が可能で,低濃度食塩の培地では生育できないものもおり,これらの細菌は絶対好塩菌と呼ばれる。好塩菌と同様に食塩を含んだ培地で生育ができ,かつ食塩を含まない培地でも生育ができる細菌は,耐塩菌あるいは条件的好塩菌と呼ばれる。好塩菌の大部分は,海産乾燥製品や塩蔵食品で繁殖するものや,海生微生物である。絶対好塩菌には,発光細菌のある種のものや,塩漬食品を汚染し変色させる細菌であるハロバクテリウムHalobacteriumなどがいる。絶対好塩菌がもっている酵素のある種のものは,その活性発現に高濃度の食塩を必要とする。
細菌
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化学辞典 第2版 「好塩菌」の解説

好塩菌
コウエンキン
halophilic bacteria

塩分濃度の高い環境(塩湖など)で生育する菌.弱好塩菌(1.2~5% NaCl),中程度好塩菌(5~20% NaCl),高度好塩菌( > 20% NaCl)が知られている.有機物が少ないときは,太陽光エネルギーで生存できる仕組みを備えたものもある.たとえば,カリフォルニアのオーエンス湖の好塩菌halobacteriaは,光駆動性のプロトン(H+)ポンプであるバクテリオロドプシンによってエネルギーを得ている.バクテリオロドプシンを多量に備えた好塩菌は紫色で,湖自体が紫色に見えることから,塩湖のなかには紫湖ともよばれるものもある.

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百科事典マイペディア 「好塩菌」の意味・わかりやすい解説

好塩菌【こうえんきん】

発育増殖に数%以上の食塩の存在を必要とする細菌の総称多く海水細菌はこの性状をもち,培地中に2〜3%の食塩を加えると良く発育する。代表的なものにコレラ菌腸炎ビブリオがある。

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