翻訳|chilling
微生物による食品の腐敗を防ぐため,食品を低温に保持して貯蔵することをいう。厳密には,貯蔵温度帯により定温貯蔵(10~0℃),冷蔵(0℃以下で凍結させない),冷凍(-15℃以下で凍結させる)に分けられる。最適な貯蔵温度は食品の種類により異なる。鮮魚は1℃前後がよく,凍結魚では-20℃前後が必要である。同様に食肉では0℃前後,凍結食肉では-18℃が適当である。一方,野菜類は一般に0~1℃が最適であるが,トマトやカボチャでは10~12℃でないと低温障害を起こす。果実類も品種により最適温度が微妙に異なり,一般には0~-0.5℃であるが,かんきつ類はこれより高い0~3℃,バナナでは12~15℃が適当である。これは,果実は収穫後も呼吸作用をつづけているためで,冷蔵庫内の雰囲気ガスに不活性ガス(窒素,炭酸ガス)を加え,呼吸をおさえる技術が開発されている。この方法は,CA貯蔵と呼ばれ,日本ではリンゴについて青森県で実施されている。
今日のように冷蔵が普及したのは,1950年代に小型の電気圧縮型冷凍機や,効率のよい断熱材が開発されたためで,生産地から消費地まで低温倉庫,低温トラック,低温ショーケースで結ぶコールド・チェーンが60年代に国の施策として推進されたことも見逃せない。冷蔵される食品は,水産物が圧倒的に多く,94年の統計では388万tで,そのほか冷凍食品126万tとなっている。野菜類では収穫後,直ちに冷却し,その後の出荷および輸送は常温で行う方法が簡便なコールド・チェーンとして一部実施されている。この方法を予冷といい,日本では全出荷野菜の8%(1988)が予冷されている。
→冷凍食品
執筆者:田島 真
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…このような仕組みとともに,消費の多様化,都市における夫婦の共働きやまとめ買い傾向もあって,コールド・チェーンの拡充はいっそう必要となってきている。 コールド・チェーンの温度帯は,〈冷蔵〉(10~2℃),〈氷温冷蔵〉(2~-2℃),〈冷凍〉(-18℃以下)を基準としており,冷蔵は新鮮な青果物,氷温冷蔵は食肉,魚介,果汁,乳製品,卵,冷凍は凍結した青果,食肉,魚介,調理食品などに利用されている。このコールド・チェーンの施設は,工場や配送センターでの冷蔵庫,冷蔵貨車,大・小型の保冷トラック,低温運搬船,および航空を含めた各輸送機関で使われている冷凍コンテナー,店頭における冷蔵ショーケース,さらに家庭での冷蔵庫などである。…
※「冷蔵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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