境界例(読み)きょうかいれい

百科事典マイペディア 「境界例」の意味・わかりやすい解説

境界例【きょうかいれい】

もともとは〈精神病神経症の境界上の病態〉という意味で,ボーダーラインともいうが,最近では人格障害として位置づけられる傾向にある。 ふだんの行動は普通であっても心は不安定で,正常と異常の間で揺れ動き,感情や行動をコントロールできない,安定した豊かな人間関係を築けない,社会における生き方が定まらない,他人を巻き込み,周囲を振り回すなどの特徴がある。米国では1980年代からこのような若者が急増し,最近は日本でも増加傾向にある。 境界例には人格障害に含まれる分裂病型人格者(統合失調症精神分裂病)を思わせる思考知覚意思,行動を示すが,その奇異さは統合失調症の診断基準を満たすほど重篤ではないもの),境界性人格者などがある。ただし,明確な精神障害かどうかは,専門家の間でも意見が分かれており,鬱(うつ)病や統合失調症と診断されるケースも少なくない。
→関連項目出社拒否症精神分析療法

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家庭医学館 「境界例」の解説

きょうかいれい【境界例】

 境界性人格障害とも呼ばれます。表面に出ている症状うつ過食などでも、よく観察すると、境界例の特徴が基盤にあることがよくあります。
 境界例の患者さんは、対人関係上の不安定さが目立ちます。ある時期は、特定の人を非常に理想化したかと思うと、ちょっとしたきっかけで同じ人を急に蔑(さげす)んだりします。ひとりでいることに強い苦痛を覚え、いつも誰かと一緒にいようとしますが、安定した人間関係は築けません。
 他人に対してだけでなく、自己評価も浮き沈みが激しく、気分も変わりやすいのが特徴です。仕事や学業も、非常にうまくいく時期とそうでない時期の差が大きいことが多いのです。
 急に自己嫌悪におちいると、手首切り、大量服薬、大量飲酒、過食などの衝動行為が生じることがよくあります。

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