増誉(読み)ゾウヨ

デジタル大辞泉 「増誉」の意味・読み・例文・類語

ぞうよ【増誉】

[1032~1116]平安後期天台宗の僧。修験道通じた。京都聖護院開山四天王寺広隆寺園城寺を歴住し、熊野三山検校けんぎょうから天台座主ざすになった。

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精選版 日本国語大辞典 「増誉」の意味・読み・例文・類語

ぞうよ【増誉】

平安中期の天台宗の僧。号は一乗寺僧正。藤原経輔の子。乗延法橋・園城寺行円に学び、特に修験道に通じた。延久元年(一〇六九)錦織寺行観に阿闍梨位灌頂を受け、承保元年(一〇七四白河院護持僧となる。以後白河上皇堀河天皇に重んぜられ、仏教界の第一人者として活躍し、長治二年(一一〇五天台座主に任ぜられた。長元五~永久四年(一〇三二‐一一一六

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改訂新版 世界大百科事典 「増誉」の意味・わかりやすい解説

増誉 (ぞうよ)
生没年:1032-1116(長元5-永久4)

平安後期の天台宗の僧。一乗寺大僧正とも号する。大納言藤原経輔の子。6歳で園城(おんじよう)寺乗延の室に入り,別当行円に就いて剃髪,行観に灌頂を受けた。若くして葛城に入峯,苦行を積み修験の徳を称され,白河,堀河両天皇の護持僧となり,両天皇のほか藤原師房,聡子内親王,媞子内親王の病気平癒を祈って験あり,女御藤原苡子(いし)を蘇生させた話がある。1090年(寛治4)白河上皇の熊野御幸に供奉,熊野三山検校の初例となった。また聖護院を建立して熊野神を勧請(かんじよう)し,天台修験の基を築いた。園城寺長吏,尊勝寺,梵釈寺,崇福寺を管理し,天王寺別当,広隆寺別当,天台座主等に補された。また仙洞論義証義一座を勤めた。
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朝日日本歴史人物事典 「増誉」の解説

増誉

没年:永久4.1.29(1116.2.14)
生年:長元5(1032)
平安後期の天台宗の僧。一乗寺僧正と号す。権大納言藤原経輔の子。6歳のときに園城寺で出家し,大峰, 葛城両山で苦行した。白河天皇,堀河天皇2代の護持僧を勤め,法験を発揮して栄達の道を歩む。応徳3(1086)年に権大僧都。寛治4(1090)年に白河上皇の熊野詣の先達を勤め,初めて熊野三山検校に補され,洛東に聖護院を建立。康和2(1100)年に園城寺長吏,長治2(1105)年に天台座主(第39世,山門派の反対で翌日辞退),大僧正となり,13カ寺の別当も兼ねた。加持祈祷と修験の両面で院の信仰を得て,その地位を築いた。

(三橋正)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「増誉」の解説

増誉 ぞうよ

1032-1116 平安時代中期-後期の僧。
長元5年生まれ。藤原経輔(つねすけ)の子。天台宗。近江(おうみ)(滋賀県)園城(おんじょう)寺の行円について出家。修験道に通じ,白河上皇の熊野(くまの)詣での先達をつとめて,はじめて熊野三山検校(けんぎょう)となる。京都に聖護(しょうご)院をひらく。園城寺長吏,天台座主(ざす),大僧正にすすんだ。永久4年1月29日死去。85歳。通称は一乗寺僧正。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「増誉」の意味・わかりやすい解説

増誉
ぞうよ

[生]長元5(1032)
[没]永久4(1116)
平安時代末期の僧。天台座主 (ざす) 。父は藤原経輔。一乗坊と号した。承保1 (1074) 年権少僧都となり,白河,堀河両天皇の護持僧をつとめた。その後熊野三山の検校をつとめ,京都聖護院を建て,のちの修験道本山派の基となった。晩年は天台座主,次いで,大僧正となり権勢をふるった。

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世界大百科事典(旧版)内の増誉の言及

【聖護院】より

…智証大師円珍の開創と伝えられる。はじめ常光院と称したが,11世紀末に増誉が入寺して聖護院と改称した。増誉は1090年(寛治4)に白河上皇の熊野参詣に先達をつとめ,その功として熊野三山別当に任ぜられ,以後,当寺は修験道と深い関係をもった。…

※「増誉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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