6月晦日(みそか)に行う大祓(おおはらえ)の行事をさし,単に夏越,または水無月(みなづき)祓などともいう。大祓は平安期には6月と12月の晦日に朱雀門において,中臣が祝詞を読んで祭事を行っていたが,後世になって6月の祓だけが残ったものである。現在,この行事は内容的・形式的に2方向に区分することができる。一つは,各地の神社で行われている茅輪(ちのわ)くぐりの行事である。鳥居のところに大きな茅で輪をつくり,そこをくぐると罪穢(つみけがれ)が祓われ,無事暑い夏が越せるというものである。また神社から授与された人形(ひとがた)で身体をなでたりして罪穢を祓うというものもある。他方,中国地方などでは,夏越には牛馬を水辺につれていって水浴させる行事を行う所が多く,井戸さらえや川の神の祭りをする所もある。ともに禊(みそぎ)や祓を主題にした行事である。
→夏祭 →禊
執筆者:宇野 正人
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