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形代 かたしろ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

形代
かたしろ

人の身についた穢れや厄を託して,海や川に流すもの。神霊の依代 (よりしろ) の一種と考えられている。多くは紙の小さな人形 (ひとがた) であるが,ところによってはわら人形や,食物に託すこともある。鳥取県の流し雛も形代の一種で,川に流したり,氏神様の境内に納めたりする。疫病神や悪霊の依代とされて,毎年村境に送られるわら人形や,神聖なものとされている削り掛けや鏡,玉,臼,杵なども形代の一つである。しかし一般には,なで物といわれる,穢れを託して送ってしまうものをさす場合が多い。

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デジタル大辞泉の解説

かた‐しろ【形代】

祭りのとき、神霊の代わりとして置くもの。人形(ひとがた)。
陰陽師(おんようじ)神主などが祓(はら)え祈祷(きとう)のとき、人間の身代わりとした人形。多く紙製で、これに罪・けがれ・災いなどを移して祓えをし、川や海に流す。ひな人形も、もとはこの一種。 夏》
身代わり。
「かの―のことを言ひ出で給へり」〈・宿木〉

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百科事典マイペディアの解説

形代【かたしろ】

呪術の道具。神道の儀式または民間で祓(はらえ)をするとき,人間の身代りに罪や穢(けがれ)を移す人形。人形(ひとがた)ともいうが,人のほか,馬・牛・鳥・犬,刀・剣・鉾,車・輿・舟などの形代がある。

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世界大百科事典 第2版の解説

かたしろ【形代】

人,器財,動物などを模してそれに代わるべきものを作り,種々の呪術を行う道具。人形,馬・牛・鳥・鶏・犬形,刀・剣・鉾・鏃形,車・輿・舟形,男茎形など多種にわたり,素材も紙,布,木,鉄,スズ,銀,金,土製と多様である。飛鳥時代中国から伝わり藤原宮期に確立し,奈良・平安時代に盛行し後代につづく。人形代には凶用と善用の2種がある。凶用の人形代は587年(用明天皇2),中臣連勝海が彦人・竹田両皇子の人形代を作り呪殺を謀った例,平城宮大膳職の井戸で発見された人形代に〈坂部秋建〉の名を墨書し両眼と胸に木釘を打つ例がある。

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大辞林 第三版の解説

かたしろ【形代】

神をまつる時、神霊の代わりに据える人形ひとがた
みそぎや祓はらえに用いる紙の人形。体をなでて災いを移し、川に流す。なで物。 [季] 夏。 → 流し雛びな
代わりになる物。また、身代わり。 「父の著なれし蓑笠を壁にかけて-とし/読本・本朝酔菩提」
根拠。証拠。 「まんざら-のなきことにはあらず/洒落本・青楼籬の花」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

形代
かたしろ

人形(ひとがた)ともいう。紙で人体の形をしたものをつくり、これを流して災いを除いた。古くは陰陽師(おんみょうじ)がこれをつくり、流したり焼いたりして災いを防止した。今日、神社で6月の大祓(おおはらえ)の前に、氏子の家に人形(ひとがた)を配り、それに氏名・年齢を書いて宮に納めると、神職が祓(はらい)をして流し、災いを避ける。埼玉県の南部では6月晦日(みそか)の大祓の前日、紙人形(ひとがた)に家内中の名を書いて氏神に納めることを、人形祈祷(ひとがたきとう)といっている。今日一般に、雛人形(ひなにんぎょう)とよばれているものも「雛ひとがた」すなわち形代であり、これを人体の代わりとしてこれに災いをつけて流してしまうのである。つまり身代りになる形代であった。撫物(なでもの)と称するのも同様で、形代で身体を撫でてそれに穢(けがれ)をなすりつけたのち、それを流して災いを除いたのである。平安時代には、宮廷や貴族の間では陰陽師によってこの行事が行われたのである。現在鳥取地方でよく知られている郷土玩具(がんぐ)の流し雛も、この習俗の一つとして行われたものである。形代はかならずしも紙の人形(ひとがた)のみではなく、村々ではむしろ藁人形(わらにんぎょう)などの場合のほうが多かった。常陸(ひたち)(茨城県)や東北の鹿島人形(かしまにんぎょう)、大助人形(おおすけにんぎょう)というのは人形(にんぎょう)を送って災いを去るので、これも送り出すべき疫神の形代であったのである。人形(にんぎょう)にもやはり災いを取り去ってもらうために、これを流し去るという神の形代としての考えがみられる。[大藤時彦]

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