六訂版 家庭医学大全科 「外傷性視神経症」の解説
外傷性視神経症
がいしょうせいししんけいしょう
Traumatic optic neuropathy
(眼の病気)
どんな病気か
主に、眉毛部外側の打撲によって、視神経管(視神経が頭蓋内に入っていく際に通るトンネルのような細い骨の穴で、
原因は何か
多くは、外傷の衝撃による視神経管内での視神経線維の
症状の現れ方
眉毛部の打撲傷(図66)に伴う同側の著しい視力低下や、視野障害(「上半分が見えない」などの
ただし、意識障害のため、または受傷直後でまぶたがはれて眼がふさがっているため、症状を自覚できない場合もあります。その意味で受傷後早期の眼科専門医による診察、検査が大変重要です。
検査と診断
早期の検査としては、ベッドサイドや救急外来でも可能な
この検査で陽性の場合は、視力、視野、眼底などの眼科的検査を進めていきます。画像診断として、視束管撮影、
治療の方法
画像診断で明らかな骨折が認められた場合は、脳外科による
画像診断で明らかな骨折が認められない場合は、視神経管内の視神経線維の浮腫を軽減させる目的で、全身状態に問題がなければ、
ただし、受傷後より光覚消失が持続するような重症の場合は、いずれの治療法においても視力予後は不良です。
明らかな骨折がない患者さんに対して
病気に気づいたらどうする
眉毛部を強く打撲してしまった場合は、まず見え方の左右差を比較することが大切です。視力・視野に異常を感じたら、早急に眼科医の診察を受けるようにしてください。まぶたがはれて眼が開かない、または意識がない場合でも、眼科医による瞳孔検査は最低限受けておくべきでしょう。早期発見・早期治療開始が大変重要です。
田口 朗
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報