大師流(読み)ダイシリュウ

デジタル大辞泉 「大師流」の意味・読み・例文・類語

だいし‐りゅう〔‐リウ〕【大師流】

弘法大師空海始祖とするという和様書道の一流派。室町末期に成立し、江戸初期ごろ大師流と称されるようになった。空海の書を誇張させた書風

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精選版 日本国語大辞典 「大師流」の意味・読み・例文・類語

だいし‐りゅう‥リウ【大師流】

  1. 〘 名詞 〙 書道の流派の一つ。弘法大師(空海)の書風を受けつぎ、その執筆法、および使筆法を門人に伝授する流儀。中世末、賀茂神社の神官藤木甲斐守敦直が飯河秋共らとともに一派を立てた。のち、藤木流が継承。その官名から甲斐流とも。賀茂流大師様(だいしよう)
    1. [初出の実例]「又は大師流(ダイシりう)八文字、島山流の一の字を書たるもあり」(出典仮名草子・都風俗鑑(1681)二)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大師流」の意味・わかりやすい解説

大師流
だいしりゅう

弘法大師空海を祖とするという書道の流派。中世末に,賀茂神社の神官藤木敦直が飯河秋共およびその門下の成定に学んで大成。空海の執筆法と使筆法を奥義として,12の点画の書法を伝授し,空海の書風を誇張した特色ある書風を形成した。後水尾天皇より書博士の号を賜わり,持明院流に代って朝廷の書役に奉仕した。この流儀は広く上下に行われ,明治以降もこの流れをくむ者があった。

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世界大百科事典(旧版)内の大師流の言及

【書】より

…そして,その書道を極めようとする意欲は用筆にも及び,嵯峨天皇への狸毛筆奉献の書が伝世し,書体によって用筆を改める周到さを示しているが,入唐中は求道のかたわら各種書体の研究にも意を用い,特異な飛白や雑書体をも会得して帰国した。近世に大師流が起こり,これは空海を日本書道の祖に位置づけているが,書風としては空海の書の特異な面が強調されている。しかし,空海の書域の幅の広さは日本書道史上に類がなく,和様書道発展の基礎となった。…

※「大師流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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