大船遺跡(読み)オオフネイセキ

デジタル大辞泉 「大船遺跡」の意味・読み・例文・類語

おおふね‐いせき〔おほふねヰセキ〕【大船遺跡】

北海道函館市にある縄文時代中期の遺跡。100基以上の竪穴住居跡および穴の遺構群が確認されている。出土された遺物には、クジラオットセイなどの海獣骨が比較的多い。令和3年(2021)「北海道・北東北縄文遺跡群」の一つとして世界遺産文化遺産)に登録された。

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日本歴史地名大系 「大船遺跡」の解説

大船遺跡
おおふねいせき

[現在地名]茅部郡南茅部町字大船

内浦湾に面した標高四〇―五〇メートルの海岸段丘上に位置する縄文時代中期の大規模な集落跡。背後亀田かめだ山塊に連なる栗の木くりのき山に接し、南東側には現在もサケ、マスの遡上する大船川が流れる。平成八年(一九九六)遺跡の発掘調査を実施したところ、盛土遺構を伴う大規模な遺跡であることが確認されたため、保存を前提に一時的に埋戻しを行い、同九年から三ヵ年かけて遺跡の内容と範囲を把握するための分布調査を実施した。その結果、遺跡の面積は七・一八ヘクタールに広がることが判明し、同一三年国の史跡に指定された。史跡指定までに調査した面積は約〇・四ヘクタールで、竪穴住居跡一二〇軒のほか、フラスコ状土坑や土壙など八〇基が調査され、住居群の外側には盛土遺構が形成されていることも確認された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「大船遺跡」の解説

おおふねいせき【大船遺跡】


北海道函館市大船町にある縄文時代中期の集落跡。北海道南西部に延びる渡島(おしま)半島の東岸、海産資源の豊かな内浦湾沿いの低位海岸段丘は、背後の亀田山塊からサケが遡上する川が湾に流れ込んでいる。ここには多くの縄文時代遺跡が点在し、とくに縄文時代中期の大規模な遺跡は5ヵ所が確認されている。大船遺跡はその中でも最北部にあり、大船川左岸の標高45m前後の広い段丘上に形成されている遺跡である。1996年(平成8)に町営の墓地造成にともなう発掘調査で大規模な集落跡が確認され、南茅部町教育委員会(当時)が1997年(平成9)から1999年(平成11)まで調査を継続し、2001年(平成13)に国指定史跡となった。遺跡は4000~5000年前、縄文時代中期の初頭から終末までのもので、南東側に100棟以上の竪穴(たてあな)住居跡が広がる住居エリアがあり、大量の遺物のほか、盛り土遺構(土などの捨て場)がある。南西の山側には土坑群が広がり、北西側には落とし穴のほか遺物が発見されている。竪穴住居は楕円形で床を深く掘り込んだ大型タイプが多く、祭祀に関わると推定される特殊な小土坑がある。石皿、スリ石、土器などの日用道具が大量に出土し、石棒やネフライト製のペンダントのほか、クジラ、オットセイ、マグロ、タラ類などの動物遺体、ヒエ、マタタビなどの植物遺体が出土している。JR函館本線函館駅から函館バス「大船小学校前」下車、徒歩約10分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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